3. インデックス投資信託「後悔しがちな」選び方はこれだ!

お金を払う以上はできるだけ後悔したくないものです。

投資信託は途中で別の銘柄に変え、資産形成を軌道修正することはできます。しかし、積立投資の基本は長期的に継続すること。

つまり、できるだけ変更せずにじっくり続けていくのが理想なのです。

ここでは最初が肝心となる「インデックス投資信託選びで後悔しがちな選び方」を3つご紹介します。

3.1 ついつい保守的過ぎるファンドを選ぶ

運用はどうしてもリスクがあるため、「できるだけ低リスクなものを」という点を主軸に選んでしまうと、運用そのものが超保守的になり、リターンを得られないかもしれません。

5%のリターンを望むのであれば、5%の損失を覚悟。1%のリターンしか望まないなら1%の損失を覚悟…というイメージです。

つまり、それぞれの「リスク許容度」が重要になるということですね。

  • ◯:「リスク許容度」に合ったものを選ぶ
  • ✕:「できるだけ低リスクなものを」を主軸に選ぶ


保守的過ぎるファンドでは利益が小さく、NISAの最大のメリットである「非課税」を最大限に活用することができないとも考えられます。

もちろんリスクへの備えは必要なので、預貯金やその他の資産全体とバランスをとることをおすすめします。

3.2 ついつい「コスト(信託報酬)」に無関心になる

比較的低コストではありますが、投資信託には通常「買う時・運用中・売る時」に手数料が発生します。

つみたて投資枠の対象商品は、買う時の手数料がかからない「ノーロード」となるので、運用中と売る時にかかるコストに無関心にならないようにしましょう。

特に運用時のコスト「信託報酬」は、運用期間中に毎日運用資産から差し引かれます。なお、毎営業日決定する基準価額は、信託報酬が差し引かれたものとなります。

例)運用中の資産10万円・信託報酬0.5%の場合

10万円✕0.5%(税抜)÷365日=1.36円(信託報酬)

1日あたり約1.4円が運用中の資産から差し引かれる計算です。

小さな金額に思えるかもしれませんが、数十年単位で続けるものだからこそ、信託報酬にもシビアになりましょう。信託報酬が運用利回りより高いと、資産が増えません。

類似するファンドがあれば、信託報酬を比較するのも良いでしょう。

ただし、つみたてNISAにおけるインデックス投資信託の信託報酬は、金融庁によって以下のように上限が定められています。

  • 国内資産を対象とする場合:0.5%以下(税抜)
  • 海外資産を対象とする場合:0.75%以下(税抜)

ご参考までに、2024年1月31日現在の「つみたて投資枠」対象ファンドの信託報酬を見ておきましょう。

つみたて投資枠対象商品の信託報酬率の分布

つみたて投資枠対象商品の信託報酬率の分布

出所:金融庁「つみたて投資枠対象商品の概要について」

国内を投資先とする指定インデックス投信の信託報酬率の平均は0.236%。0.1%超~0.2%以下のファンドが最多となっています。

国内・海外を投資先とする指定インデックス投信の信託報酬率の平均は0.32%。こちらも0.1%超~0.2%以下のファンドが最多となっています。

3.3 ついつい1つの国に集中した投資先を選ぶ

「日本の株式が調子いいみたい」「今は米国の株式が順調」というように、ついつい投資対象が一国に集中したファンドが気になることがあります。

1国集中型はシンプルな仕組みでわかりやすく、動向もつかみやすいですよね。しかしその一方で、リスクを1つの国に委ねることになります。

投資の世界において「ずっと右肩上がり」という現象は続かず、日本株式が良好な年もあれば、米国株式が良好な年もあるものです。

安定的な運用を求める場合には、投資対象国が複数に分散されたものを選ぶと良いでしょう。

判断が難しい場合には、NISA口座を開設している金融機関に相談してみるのもひとつです。

4. 投資の理解度を深めることが大切

旧NISA制度が始まったのは2014年。そこからコロナショックという経済が下落するタイミングはありましたが、NISAがはじまってから本当の大下落を経験している方は少ないのが今の日本の現状です。

ここから先の運用は増えたり、減ったりを繰り返しながら資産を作っていくことになるでしょう。

元本割れを経験した時に初めて、今の日本の投資の本質が問われてくると考えています。

その時に流行りに乗ってなんとなく選んだ銘柄を持ち続けることができるでしょうか。

元本割れをしてしまった際に自分の銘柄を信じて持ち続けることができるように、どの銘柄にいくら投資すればよいのかという、銘柄の理解度をしっかりと深めておきましょう。

運用が失敗したとしても自己責任の世界です。後悔しない銘柄選びが大切になってきます。

参考資料

杉田 有毅