2. 年金が夫婦で「約46万円」支給される理由
2024年度から、標準的な夫婦の年金は1回あたり約46万円となります。
しかし、この年金額は夫婦2人分であり、2ヶ月分が一度に支給されるため、1回あたりの支給額は「23万483円」です。
この内訳は、夫が16万2438円・妻が6万8000円です。
こうして見てみると、余裕をもって生活できる水準ではなさそうです。2ヶ月分が一気に振り込まれることもあり、家計管理に頭を悩ませることもあるでしょう。
また、年金は偶数月の15日(土日祝日の前は直前の営業日)に支給されるので、実際の支給は6月から始まります。さらに、年金からは税金や保険料が天引きされます。
このことから、年金が「約46万円」支給されるという事実はありますが、単純に手放しで喜べないというわけです。
3. 年金から天引きされるお金
給与から天引きされるように、年金からも一定のお金が天引きされる場合があります。
天引きされる条件はそれぞれで決まっているため、全員にあてはまるわけではありませんが、主に以下の4つのお金が天引きされる可能性があります。
- 所得税と復興特別所得税
- 個人住民税
- 介護保険料
- 後期高齢者医療保険料、国民健康保険料(税)
所得税や住民税は、所得が一定以下の場合は非課税となり、天引きされることはありません。一方、健康保険料や介護保険料は所得に関係なく支払わなければならないため、天引きされなくても支払う必要があります。
実際の振込額は、6月に送付される年金振込通知書で確認できるので夫婦で確認してみるとよいでしょう。
4. 国民年金と厚生年金の支給額は平均どれくらい?
2024年度の年金額が公表されたものの、これはあくまでも「国民年金の満額」と「モデル夫婦の厚生年金額」です。
誰もが同じ水準の年金を受け取れるわけではありません。
参考までに、2023年12月に更新された最新データから、今のシニアが受給する年金額を見ていきましょう。
4.1 国民年金(老齢基礎年金)の受給額平均
〈全体〉平均年金月額:5万6316円
- 〈男性〉平均年金月額:5万8798円
- 〈女性〉平均年金月額:5万4426円
平均は男女ともに5万円台ですが、ボリュームゾーンは6万円~7万円未満です。個人差はそこまで大きくありません。
4.2 厚生年金(老齢厚生年金)の受給額平均
〈全体〉平均年金月額:14万3973円
- 〈男性〉平均年金月額:16万3875円
- 〈女性〉平均年金月額:10万4878円
※国民年金の金額を含む
5. 安心して老後を過ごすために
実際に年金の仕組みや金額を見ると、老後のお金事情が身近に感じられたのではないでしょうか。世帯によってバラつきがあるものの、年金だけで十分と感じる世帯は少ないでしょう。足りない場合には年金以外の準備が必要です。
例えば、NISAやiDeCoなどの運用が注目を集めています。資産運用なのでリスクもありますが、高いリターンを期待することも出来ます。
商品によってリスクの度合いは変わるため、自分に合ったものをしっかりと探しましょう。また、長生きの時代ですから長く働く方も増えています。労働収入も年金以外の収入です。
働くためには健康でいる必要もあるため、老後を考える上では健康維持も重要になるでしょう。準備の仕方も世帯によってバラバラですが、長い老後に向けてお金には困らないようにしたいですね。
参考資料
徳原 龍裕