社内では些細なことでも使われる「ありがとうございます」という言葉。でも、あなたが妻に「ありがとう」と言ったのは、どれくらい前のことでしょうか? 昨日、それとも1間前、いや記憶にない…という人もいるでしょう。
「ありがとう」は魔法の言葉です。とてもシンプルで簡単な言葉ですが、言われた人はもちろん、言った人も、見ている周りの人の気持ちをも温かくしてくれます。「ありがとう」と口にしているときは暗いことを考えませんし、ケンカもおさまります。見知らぬ人でも、外国の人でも、この言葉が出れば自然と笑い合える、そんな魔法がかかっているかのようです。
子どもに「『ありがとう』と『ごめんなさい』だけは言える人間になってほしい」と願う親もいますが、それだけの価値のある言葉ですよね。では親自身は言えているかというと、大人の方が素直に言えません。
「ありがとうとは言わない」その気持ちの裏にあるものは
では、なぜ妻にありがとうと言わないのでしょうか。「やって当たり前のことをしているだけから言わない」という人もいるでしょう。本当に「やって当たり前」でしょうか。先ほど確認した通り、家事も育児も責任の半分は男性にもあります。また、妻はあなたの母親ではなく、他人でありパートナー。やって当たり前なことなど、ないと言えるでしょう。
「言わなくても分かるから言わない」という人もいるでしょう。本当に言わなくても伝わるでしょうか。妻とはいえ他人です。あなたの考えていることは、血の繋がっている両親でさえ分からないはず。言わなくては伝わらないのが人間というものです。
「恥ずかしいから言えない」という人もいるでしょう。そんなあなたは妻より自分の方が大事なのかもしれません。「自分の恥ずかしい気持ち」と「妻へ感謝を伝えたい気持ち」を天秤にかけたとき、前者が勝つのですよね。そこを一歩踏み出すと、また違った夫婦関係が築けるかもしれません。
まずはちょっとしたことから、「ありがとう」と口にしてみてください。仏頂面だった妻の口元が、少し緩むことでしょう。1週間に1回、3日に1回、1日に1回と増やしてみる。妻のあなたへの当たりも変わると思います。この5文字の言葉を増やすだけで夫婦関係も変わることでしょう。
宮野 茉莉子