住宅ローンの返済や教育費の支払いのために老後資金準備が後回しになって、50歳代から本格的に始める人は少なくないでしょう。
iDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)は老後資金準備に特化した制度ですが、加入には年齢制限があります。そのため、50歳代からの加入は遅いと考える人もいるかもしれません。
この記事では、50歳代からのiDeCo加入のメリットを解説し、実際にいくらの老後資金を準備できるかをシミュレーションします。
1. 50歳代でiDeCoを始めるのは遅いのか?
最初にiDeCo(イデコ)の制度の概要と、50歳代からスタートするメリットについて解説します。
1.1 iDeCoの特徴
iDeCoは公的年金に上乗せするための、任意で加入する私的年金制度です。加入者が積み立てる掛金を自分で運用し、運用成果によって将来受け取る老齢給付金の額が決まります。iDeCoに加入すると、以下のような税の優遇が受けられます。
- 掛金が全額所得控除の対象になる
- 運用益には課税されず、再投資される
- 受け取り時も受け取り方法ごとに所得控除が適用される
iDeCoは原則として60歳まで引き出しができません。老齢給付金は、以下の方法で受け取ります。
- 一時金
- 年金
- 一時金と年金の併用(金融機関によっては選択不可)
iDeCoには加入者の資格によって掛金の上限が以下のように異なります。
なお、企業型DCとは企業型確定拠出年金、DBとは確定給付企業年金・厚生年金基金・石炭鉱業年金基金・私立学校教職員共済を指します。
- 第1号被保険者:月額6万8000円
- 勤務先に企業年金がない会社員:月額2万3000円
- 企業型DCのみに加入する会社員:月額2万円
- 企業型DCとDBに加入する会社員:月額1万2000円
- DBのみに加入する会社員:月額1万2000円
- 公務員:月額1万2000円
- 第3号被保険者:月額2万3000円
1.2 iDeCo は50歳代からの老後資金準備に適している
老後資金準備のスタートが50歳代からとなる人は少なくないでしょう。iDeCoは50歳代からの老後資金準備にも適した制度です。
iDeCoの掛金は全額所得控除の対象となるため、収入の多い50歳代の人は若年層に比べて税制メリットを享受しやすいといえます。また、60歳まで引き出しができない点はiDeCoのデメリットとされていますが、加入期間の短い50歳代からでは大きな不利益となりにくくなるでしょう。
1.3 60歳以降もiDeCoに加入できる人は?
iDeCoの加入期間は60歳までですが、以下の条件を満たす人は65歳まで加入できます。
- 60歳以降も厚生年金に加入して働く会社員・公務員
- 60歳以降に国民年金に任意加入している人(海外居住者含む)
定年延長によって60歳以降も同じ勤務先で働く人は多いでしょう。正社員でなくても社会保険に加入していればiDeCoに加入できるため、スタートが遅かった人も挽回は可能です。また、自営業者やフリーランスで国民年金の学生納付特例制度などで保険料を満額支払っていない場合、60歳以降に任意加入できます。
60歳以降にiDeCoに加入する人は公的年金の受給額を増額でき、さらにiDeCoでも老後資金を上乗せできるのです。