3. 年金には天引きされるお金もある
2024年度の年金支給日と年金額の例を確認しました。
ただし、年金からは天引きされるお金もあるので注意が必要です。例えば年金の決定額が月額で15万円となった場合、年金支給日には30万円が受け取れると考えられます。
しかし、実際に口座に振り込まれるのはこれよりも低くなるでしょう。
給与から天引きされるお金があるように、年金から天引きされるお金もあるのです。
厚生年金や国民年金から天引きされるお金は、主に次の4つです。
- 所得税と復興特別所得税(年金所得によっては非課税。遺族年金や障害年金は非課税)
- 個人住民税(前年の所得によっては非課税。遺族年金や障害年金は非課税)
- 介護保険料
- 後期高齢者医療保険料、国民健康保険料(税)
それぞれ天引きされる条件があるので、全員からすべて天引きされるわけではありません。特に税金は、年金額が少ない場合非課税になるケースもあります。
ただし、健康保険料や介護保険料は天引き対象とならなくても、納付書や口座振替で納める必要があります。所得が低くても免除とはならないので注意しましょう。
4. 国民年金と厚生年金は月平均でいくら?(額面)
では、そんな国民年金と厚生年金の平均的な受給額はいくらなのでしょうか。
年金は2カ月分まとめて支払われますが、ここでは月平均の受給額(額面=天引き前)を見ていきましょう。
2023年12月に公表された、厚生労働省年金局の「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」から確認します。
4.1 国民年金の平均月額
- 男女全体平均月額:5万6316円
- 男性平均月額:5万8798円
- 女性平均月額:5万4426円
4.2 国民年金の受給額1万円ごとの人数
- 1万円未満:6万5660人
- 1万円以上~2万円未満:27万4330人
- 2万円以上~3万円未満:88万1065人
- 3万円以上~4万円未満:266万1520人
- 4万円以上~5万円未満:465万5774人
- 5万円以上~6万円未満:824万6178人
- 6万円以上~7万円未満:1484万7491人
- 7万円以上~:178万3609人
4.3 厚生年金の平均月額
- 男女全体平均月額:14万3973円
- 男性平均月額:16万3875円
- 女性平均月額:10万4878円
※国民年金の金額を含む
男女差は月額で約6万円です。個人差も見ていきましょう。
4.4 厚生年金の受給額1万円ごとの人数
- 1万円未満:6万1358人
- 1万円以上~2万円未満:1万5728人
- 2万円以上~3万円未満:5万4921人
- 3万円以上~4万円未満:9万5172人
- 4万円以上~5万円未満:10万2402人
- 5万円以上~6万円未満:15万2773人
- 6万円以上~7万円未満:41万1749人
- 7万円以上~8万円未満:68万7473人
- 8万円以上~9万円未満:92万8511人
- 9万円以上~10万円未満:112万3972人
- 10万円以上~11万円未満:112万7493人
- 11万円以上~12万円未満:103万4254人
- 12万円以上~13万円未満:94万5662人
- 13万円以上~14万円未満:92万5503人
- 14万円以上~15万円未満:95万3156人
- 15万円以上~16万円未満:99万4044人
- 16万円以上~17万円未満:104万730人
- 17万円以上~18万円未満:105万8410人
- 18万円以上~19万円未満:101万554人
- 19万円以上~20万円未満:90万9998人
- 20万円以上~21万円未満:75万9086人
- 21万円以上~22万円未満:56万9206人
- 22万円以上~23万円未満:38万3582人
- 23万円以上~24万円未満:25万3529人
- 24万円以上~25万円未満:16万6281人
- 25万円以上~26万円未満:10万2291人
- 26万円以上~27万円未満:5万9766人
- 27万円以上~28万円未満:3万3463人
- 28万円以上~29万円未満:1万5793人
- 29万円以上~30万円未満:7351人
- 30万円以上~:1万2490人
全体平均は14万3973円ですが、月額15万円以上を受け取っている人は、半数にも満たないことがわかりました。
ここからさらに天引きされるお金があると考えると、老後のやりくりには工夫が必要に感じられます。
5. まとめにかえて
もうすぐ2024年度が始まります。2024年度の年金支給日や、年金額の例を知っておきましょう。
あまり年金について知らなかったという方は、年金が2ヶ月おきの支給になること、後払いであること、天引きされるお金があること、個人差が大きいことなどに驚かれます。
老後に向けたマネープランを立てるためには、平均だけではなく「自分の年金受給額」の目安も知ることが大切ですね。
まずはねんきんネットやねんきん定期便などで見込額を確認してみてはいかがでしょうか。
また年金だけでは足りない場合、その分の老後資金が必要になります。目標額を設定し、逆算して短期的な目標に落とし込んでみましょう。
参考資料
太田 彩子