3. 老後2000万円の注意点は?

ここからは、「老後2000万円問題」の盲点とも言える部分を整理していきましょう。

さきほど「高齢無職夫婦世帯・ひと月の収支」の図で整理した支出は、あくまでも標準的な日常生活を送る上で発生するであろう支出です。

実はこの「支出」に含まれていない部分を知っておくことが大切です。

3.1 住居費用

最初に注意しておきたいのが「住居費用」。試算では約1万4000円で設定されていますが、これは持ち家世帯を前提とした金額です。老後賃貸住宅に住む場合は、家賃との差額分について、「2000万円」とは別に準備しておく必要があります。

3.2 介護費用

多くのシニア世帯のいわば「必要経費」ともいえる介護費用も、実はこの「2000万円」の中には含まれていません。

「長生きリスク」なる言葉を頻繁に耳にするようになったこんにち。

ちなみに、公益財団法人生命保険文化センターの意識調査によると、「ゆとりある老後生活」を送るために必要な月々の生活費は36万1000円というデータもあります。

各家庭によって生活水準や年金受給額は異なりますが、老後資金対策が全く必要ないという世帯は決して多くはないでしょう。

次では、老後に向けて資産を増やすコツを2つご紹介します。

4. 資産を増やすコツ・その1 「ゴールを知る」

「人生100年時代」と言われる長寿時代に老後を過ごす私たち。公的年金や退職金だけに頼ることなく、自分自身で老後に向けた資産づくりを行う姿勢が求められています。

この「自助努力」による資産形成を考える上でまずポイントとなるのが、「ゴールを知る」ことです。

理想の老後に必要な資金がどのくらいになるのか各家庭で異なります。まずは年金見込額や貯蓄状況を把握し、「2000万円」という数字を鵜呑みにすることなく、世帯ごとの貯蓄ゴールを作っていく必要があるでしょう。