34年ぶりに日経平均株価が最高値を更新しました。明るい材料ですし、今後も景気が上向きになれば良いですね。
一方で、老後のお金事情については不安に感じる方がまだまだ多いでしょう。厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によれば、国民年金を含む厚生年金の平均月額は14万3973円です。
退職後に月14万円で暮らすとなれば、少ないと感じる方も多いでしょう。しかし、日本の年金は受給月額に個人差が出やすい仕組みです。
中には、平均額を大きく上回る月30万円以上を受け取っている方もいます。老後のお金は多いに越したことはないですから、仕組みを理解しておくことが重要です。
そこで今回は年金の仕組みと、実際に30万円以上を受給する方がどのくらいいるのかなど確認していきます。
1. 厚生年金と国民年金の仕組みとは?
日本の公的年金は、上記の図のように国民年金と厚生年金の2階建てになっているため、もし1階部分の国民年金にしか加入していない場合、「月30万円以上」の年金は目指せません。
1.1 国民年金(1階部分)
- 原則、日本国内に住む20歳以上60歳未満の全員に加入義務がある
- 保険料は一律
- 納付した期間に応じて将来もらえる年金額が決まる
1.2 厚生年金(2階部分)
- 公務員やサラリーマンなどが加入する
- 収入に応じた保険料を支払う(上限あり)
- 加入期間や納付額に応じて将来もらえる年金額が決まる
このように働き方によって加入する年金が異なり、また厚生年金は加入期間や現役時代に納めた保険料により将来の受給額が決まるので、まずは自分自身の加入記録を確認することが重要です。
では、厚生年金に加入してバリバリ働いた自信があるという男性の場合、月額30万円以上は目指せるものなのでしょうか。
2. 厚生年金「月額30万円以上」理論上は可能だが…
厚生年金の平均月額は14万3973円。そして、その約2倍となる「月額30万円以上」の厚生年金を受給しているという方は、現実には確かに存在しています。
2.1 厚生年金の平均年金月額
- 〈全体〉平均年金月額:14万3973円
- 〈男性〉平均年金月額:16万3875円
- 〈女性〉平均年金月額:10万4878円
※国民年金部分を含む
2.2 厚生年金「月額30万円以上」の割合
- 1万円未満:6万1358人
- 1万円以上~2万円未満:1万5728人
- 2万円以上~3万円未満:5万4921人
- 3万円以上~4万円未満:9万5172人
- 4万円以上~5万円未満:10万2402人
- 5万円以上~6万円未満:15万2773人
- 6万円以上~7万円未満:41万1749人
- 7万円以上~8万円未満:68万7473人
- 8万円以上~9万円未満:92万8511人
- 9万円以上~10万円未満:112万3972人
- 10万円以上~11万円未満:112万7493人
- 11万円以上~12万円未満:103万4254人
- 12万円以上~13万円未満:94万5662人
- 13万円以上~14万円未満:92万5503人
- 14万円以上~15万円未満:95万3156人
- 15万円以上~16万円未満:99万4044人
- 16万円以上~17万円未満:104万730人
- 17万円以上~18万円未満:105万8410人
- 18万円以上~19万円未満:101万554人
- 19万円以上~20万円未満:90万9998人
- 20万円以上~21万円未満:75万9086人
- 21万円以上~22万円未満:56万9206人
- 22万円以上~23万円未満:38万3582人
- 23万円以上~24万円未満:25万3529人
- 24万円以上~25万円未満:16万6281人
- 25万円以上~26万円未満:10万2291人
- 26万円以上~27万円未満:5万9766人
- 27万円以上~28万円未満:3万3463人
- 28万円以上~29万円未満:1万5793人
- 29万円以上~30万円未満:7351人
- 30万円以上~:1万2490人
※国民年金部分を含む
その数は2022年度時点で1万2490人。割合にするとたったの0.1%です。
月に30万円以上の年金を受給するには、約1200万円の年収を40年以上維持する必要があります。
理論上は可能とわかっても、「バリバリ働いている自覚がある」というだけでは目指せない可能性が高いです。
本当に30万円以上の年金収入を目指したい場合は、繰下げ受給を利用したり、個人年金保険やiDeCoなど公的年金以外の私的年金で上乗せする必要があるでしょう。