街中でリクルートスーツを着た学生を目にする季節になりました。そこで今回は、これから本格化していく採用面接で、どのような点や行動が面接官の評価を下げるのかについて考えます。
はじめに
面接は採用する企業が志願者を知る場であり、志願者にとっては希望する会社にどのような人材がいるかを知る機会と言えます。基本的に面接は採用側が志願者を選考するプロセスではありますが、選ぶ側の悩みも尽きないものです。
「採用する側に悩みなどあるのか」という声も聞こえてきそうですが、金融機関で採用に携わる経験をしたことのある人物はこう言います。
「就活生の採用に関わるのは良いのですが、若手の場合は当然ながら選考プロセスの最初に評価をさせられることが多くなります。すると、後から面接する目上の人に、自分が下した評価を『なぜあいつはこんな評価をしたのか』と思われるのが最もつらいです」
さらにこうも言います。
「後で高く評価されることになる学生に低い評価をしてしまったり、逆に低評価が多い学生に高い評価を与えた場合には、そうした判断をした自分の評価が下がるのです。ですから、みんなはどう見るだろうかと考えがちです。そのプロセスが苦痛です」
では、面接する側にこうした悩みがある中で、どのようなスタンスで面接を受ければよいのでしょうか。やってはいけないNGポイントをまとめてみました。
その1:相手の話を聞かない
積極的に話をすること自体は必ずしも悪いことではありませんが、相手のメッセージを読み取る姿勢がないのは致命的です。
社会人になれば、上司のややもすると表現として十分ではない指示や発言に対し、その背景をくみ取って動かないといけないケースもあります。面接では、まずは相手の話を聞くという姿勢を見せるべきでしょう。
その2:自分の意見やアイデアがない
社会人になって会議に参加することは、学生時代との大きな違いでしょう。若手の頃は資料準備等の役回りで同席するという場合もありますが、年を経るごとに会議では当然意見が求められます。
そこで誰かの意見を繰り返したり、出た意見に対して単に批判をするだけで自分のアイデアがない場合は、当然ながら話が前に進みません。いかに自分なりの考えや提案があるかが重要です。また、会議は「何かを決める場」ということを徹底している会社もあるので、準備なしで臨むようではそれこそNGです。
面接官の質問に対して、きれいな回答でなくともよいので、自分の考えや体験に基づいた回答をする姿勢を見せたいものです。特に、単なる思い付きではなく、自らの経験談などは話に具体性が増すので意外に効果的だったりします。
その3:根拠のない話をする
実際の職場で何かを提案する際には、必ずと言っていいほど「数字」や「データ」が求められます。規模の大きな企業で上司として評価の高い人物ほど、こうした要求をする傾向が強いかもしれません。
では、なぜデータに基づいた意見や考えが推奨されるのでしょうか。それは、上司が判断する材料やきっかけを与えることができるからです。
会社は利用可能な経営資源をいかに有効活用するかを決定する集団といってもよいかもしれません。また、管理職は突き詰めて言えばそうした経営資源の有効活用を最大化させるのが役目です。そうした役割の人物に判断をするきっかけを与えてあげれば当然喜ばれます。
面接でも、根拠を問われて答えに窮するような話をしてしまうと、当然ながら相手を失望させることになるでしょう。
その4:主体性がない
当たり前のことですが、会社は組織です。組織というのは一人一人で仕事をするよりも効率的であるから組織なのであって、一人一人の方が効率的であるならばかならずしも組織である必要はないでしょう。
管理者は自分の部下を持ち、その部下の働きを最大化させるように仕事を管理します。つまり、経営者から見れば、管理者を管理していればさらにその先の従業員を間接的に管理できるということになります。
そうした仕組みの中で、従業員がすべてを管理者に相談し、その内容を管理者が経営者に相談していると組織であるメリットが失われます。各自が主体的に動き、判断することが経営効率を高める上では大前提と言えます。ですから、面接で主体性がないと感じさせてしまうような言動には注意しましょう。
その5:身だしなみが整っていない
この点は他の定性的な要因とは異なりますが、面接においては意外に重要なポイントかもしれません。面接する側は多くの場合「この人物が自分の職場に来た時にみんなはどう思うのか」と考えます。
その際に、服装から言葉遣い、コミュニケーションの仕方なども含めて、「職場で浮かないか」ということを面接官は想像しがちです。そうした点で違和感を感じさせてしまうと、なかなか高評価を得ることは難しいのではないでしょうか。
おわりに
採用面接では、冒頭にあった若手の悩みのように、上司などが自分の下した評価をどう思うか気にするというケースも少なくないかもしれません。とはいえ、「みんなが選びそうな人を選ぶ」ばかりでは、何かに秀でたいわゆる「尖った人物」が選考に漏れることもあるでしょう。優秀な学生を採用したければ、こうした陥穽にはまらないよう注意することも必要でしょう。
LIMO編集部