2018年2月26日に行われた、株式会社デュアルタップ2018年6月期第2四半期決算説明会の内容を書き起こしでお伝えします。
スピーカー:株式会社デュアルタップ 代表取締役社長 臼井貴弘 氏
2018年6月期第2四半期決算説明会
臼井貴弘氏(以下、臼井):本日は当社のオンライン説明会をご視聴いただき、誠にありがとうございます。
株式会社デュアルタップ代表取締役の臼井でございます。当社は不動産の企画・開発をメインに、その周辺事業を行う総合不動産事業の企業でございます。
本日の説明会では、各事業の概要や、(2018年)2月8日に実施しました株式分割の概要、2月9日に発表しました第2四半期決算の状況・今期の見通しをご説明し、当社についてのご理解を深めていただきたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
会社概要
まず初めに、当社の概要でございます。
当社は「笑顔創造企業」をミッションとして掲げております。資産の1つとして、長期的に持っていてよかったと思ってもらえる不動産の開発・分譲により、お客さまの幸福に貢献したいと考えております。
また、ロゴマークは3本の矢と波をイメージしておりまして、「強く・優しく・面白く」という3つの精神と、「新たな波を起こす」という気持ちを込めております。決算月は6月。従業員数は連結で120名でございます。
当社の事業サイクル
次に、当社の事業サイクルを完結にご説明させていただきます。当社は不動産の企画・開発・分譲・管理・運用・仲介をワンストップで行っております。
事業セグメントは、3つに分けております。主力となる不動産販売事業では、東京23区・駅徒歩10分以内を開発基準としましたマンション「XEBEC(ジーベック)」の企画・開発・分譲を行っております。
不動産賃貸管理・仲介事業では、不動産販売事業で分譲したマンションの賃貸管理業を行っております。賃貸管理業は、サブリースと管理業務の受託によるストック型のビジネスでございます。
海外不動産事業では、シンガポールやマレーシア・香港・上海・台湾などの東南アジア諸国において、コンサルティング事業を行っております。コンサルティングは、海外投資家に対するインバウンド事業と、国内の投資家に向けたアウトバウンド事業を双方向で行っております。
国内・海外の投資家に向けて、資産性の高いマンション・XEBECを供給することで、賃貸管理戸数の積み増しを行い、ストック型のビジネスを拡大して、事業の安定化を図るのが、当社の事業サイクルでございます。
事業環境①
次に、事業環境と当社の強み・差別化のポイントについてご説明いたします。
大局的には地価も上昇、建築費は高止まりの状況にあります。また、賃料相場も緩やかに上昇しております。国土交通省の公示地価によりますと、当社の物件開発エリアである東京都では、地価の上昇傾向が続いております。とくに駅周辺の商業地では、上昇傾向が強くなっております。
不動産価格は全体として上昇傾向にあり、適正価格での開発用地の確保・物件仕入れが、よりいっそう重要な環境となっております。
事業環境②
住宅需要の面につきまして、東京都の人口予測によりますと、2025年までは現在の人口流入傾向が続く見通しになっております。人口流入にともないまして、東京都では単身世帯と2世帯の増加が続いてまいります。
当社は、25平米から30平米程度の1Kタイプの開発を得意としておりますが、最近では、広めの1Kタイプに2人で入居するケースも増えてきております。
事業環境③
単身世帯だけでも、2015年から2025年までの10年間で、約6万3,000世帯の増加が予想されますが、これに先ほどの2人世帯を加えますと、10年間で22万戸の世帯増加が予想されます。
これは、単純に年平均で換算しますと、約2.2万戸の住宅需要となります。これに対しまして供給の面では、東京カンテイの統計によりますと、最近5年間のワンルームタイプの供給は、年間1.2万戸のペースで推移しております。当面は、この需給バランスが継続するものと考えております。
当社の強み・差別化
このような事業環境の中、当社の強み・差別化となるポイントは、「駅近物件の開発力」「XEBECの分譲実績」「賃貸管理業の高い入居率」「海外展開」という、以上の4点となります。
それぞれのポイントにつきまして、次のページでご説明いたします。
当社の強み:駅近物件の開発力
まず、当社の強みであります、駅近物件の開発力についてでございます。
当社で開発しましたマンションには、「XEBEC人形町」「XEBEC両国」というように、「XEBEC」という名前をつけております。
このXEBECは、開発基準としまして、駅徒歩10分以内という基準を設けております。この開発基準は創業からぶらさずに、「XEBEC=駅近」というイメージを大切にしております。
駅から近いということは、長期的に見ても安定した賃貸需要が維持できるということでありまして、「持っていてよかった」と思える物件の条件だと思っております。
過去の供給物件は、(円グラフからおわかりのように)駅徒歩5分以内の物件が半数以上を占めておりまして、この開発力は当社の強みでございます。
「XEBEC」とはもともと、16世紀から19世紀の地中海で使用された小型高速帆船の名称でございます。
これをマンションに置き換え、コンパクトな設計でありながらも機能的で、需要に合わせて前進する。そのような開発コンセプトを込めまして、マンションのブランド名としております。
また、この開発コンセプトは当社の社名、「デュアルタップ」にも通じております。「デュアル」が2重・「タップ」が開発となっており、資産性と実需の両面から、そして、当社ならではの豊かな感性で開発を行うという意味を込めております。
利便性に加え、外観やエントランスにも高いデザイン性を取り入れ、内装のグレードをより高級感のある物件にするなどの工夫を行っております。創業当初から一貫しているこのコンセプトは、今後の物件開発でも大切にしたいと思っております。
当社の強み:XEBECの供給実績
次に、XEBECの供給実績についてでございます。創業期から累計にしますと、9月の第1四半期までで、XEBECシリーズは東京23区内で46棟・1,542戸の供給実績となっております。資産性と利便性を兼ね備えた、ブランドマンションとしての実績を確実に積み上げております。今期は、通期で271戸のマンションの供給を計画しております。
当社では、1戸1戸の分譲を自社の営業部門が行っておりまして、お客さまと正面から向き合って、直接分譲をさせていただいております。これまで積み上がった分譲実績は、お客さまからの信頼の証でありまして、当社の自信となっている部分でもございます。
2018年6月期の供給物件一例
こちらは、今期の供給物件の一例でございます。前期は城北エリアを中心に物件を供給してまいりましたが、今期は千代田区・荒川区・世田谷区・北区・杉並区・大田区など、都内全域で物件の供給を進めてまいります。いずれも駅徒歩10分以内という開発コンセプトのもと、安定してお客さまの資産形成に寄与する物件でございます。
当社の強み:賃貸管理業の高い入居率
次に、賃貸管理業の高い入居率についてでございます。当社では、ストック型ビジネスとして賃貸管理業を行っております。主に、自社で分譲したマンションXEBECの賃貸管理を行っております。
また、最近ではXEBECの管理に加え、お客さまが所有されている別の物件の管理もご用命いただき、2017年6月時点での管理戸数は1,560戸となっております。
拡大基調の賃貸管理業でございますが、強みはその入居率の高さにございます。前期は期中平均で97.9パーセントという高水準で推移いたしました。足下の第2四半期も、平均で97.8パーセントで推移しております。これは、業界平均と一線を画した水準であると思っております。
各地域の不動産仲介業者とのコミュニケーションを積極的に行いまして、細やかな対応に努めていることが、入居率の高さにつながっていると考えております。また、XEBEC以外でも関東圏の物件や現状空室の物件など、ご用命をいただいた場合は積極的に賃貸管理を行い、お客さまがご所有されている物件の資産性の向上に寄与しております。
入居率の高さは、お客さまにとって資産性の向上につながることはもちろんのこと、当社にとってもストック型ビジネスとして、収益力の向上に寄与しております。
当社の強み:海外展開
次に、海外展開についてご説明をさせていただきます。当社では、企業拡大の成長ドライバーとしまして、海外不動産事業に注力しております。当事業では、子会社のDualtap Internationalが国内外の投資家に双方向で収益不動産を紹介する、クロスボーダー事業を展開しております。
当社は、いち早くクロスボーダーでの不動産投資ビジネスの将来性に着目しまして、創業6年目の2012年に、子会社Dualtap Internationalを設立しました。マレーシア・シンガポールおよびタイでの不動産紹介ビジネスや、テナント管理事業を展開してまいりました。
今期は、連結売上高の約30パーセントが海外投資家との取引となる見込みでございます。また、マレーシアでは、現地子会社を通じまして17棟4,500戸の大型レジデンスを管理するなど、実績が積み上がってきております。
海外不動産事業における当社の強みは、シンガポールやマレーシアで、現地子会社が事業を展開していることです。2014年には、海外不動産事業拡大を目的としましてシンガポールに進出。2015年には、建物管理事業を目的としましてマレーシアに進出いたしました。
現地に自社の拠点を構えきめ細かいフォローを行っていることが、他社との差別化につながって、海外の投資家から高い信頼を得ると思っております。
海外インバウント事業:アジア投資家への販売
海外インバウンド事業です。当社の海外事業メンバーが香港・上海・台湾・シンガポール・マレーシアなどのアジア諸国に「不動産投資家向けセミナー」を開催しまして、各国の投資家に、当社のXEBECシリーズを紹介しております。
現在は、アジア諸国の投資家を中心にセミナー活動を実施しております。安定している東京不動産の中でも、とくに駅近物件への関心は高く、セミナーは活況を呈しております。
海外アウトバウンド事業:国内投資家への物件のご紹介
海外アウトバウンド事業では、国内外の投資家に向けて海外物件を紹介しております。こちらに掲載しているのは、取り扱っている海外物件の一例でございます。海外不動産事業では、これまで主にマレーシアの収益物件の紹介を行ってきましたが、最近では投資家のニーズに応えまして、タイなどアジアの収益物件を取り扱っております。
こちらの物件は「KensingtoN」というコンドミニアムで、2020年に新駅開通予定のテパラックエリアの物件でございます。こちらの物件は、タイ大手不動産のオリジン・プロパティ―社が手がけております。物件価格も日本円で600万円と、安価な価格帯となっております。
海外の物件につきましては、これらの物件以外にも、日本の不動産とはすごく違ったおもしろみを持つ物件を多数取り扱っております。
マレーシア建物管理事業
海外展開のうち、マレーシアでの建物管理業についてご説明させていただきます。当社は2015年にマレーシアに進出しまして、現在はジョホール州南部を中心にレジデンス・商業施設・複合施設等の17棟、4,535戸を管理しております。
マレーシアはルックイースト政策に始まる、東南アジアでも有数の親日国でありまして、日本人特有の規律性やおもてなし精神を基礎とした品質が、管理上のアピールポイントとなっております。
当社は、マレーシア唯一の日系管理会社でありまして、日本の先行する管理手法・長期修繕計画の作成・建物大規模修繕の工事の手法・セキュリティシステムの機械化によるコストダウンの提案などを提供することで、インフラの輸出による他社との差別化を図っております。
当社が拠点としているマレーシア南端部のジョホールバル州は今後、新築コンドミニアムの完成が多く予定されている有望市場でございます。現地の競業相手はまだ少なく、先行者利益を狙えるマーケット環境になると考えております。
2018年6月期第2四半期 決算ハイライト
続きまして、2018年6月期第2四半期の決算実績をハイライトにてご説明させていただきます。
2018年6月期第2四半期は、計画に沿いまして増収増益で着地いたしました。
売上高は64億8,400万円、営業利益は5億7,100万円、経常利益は5億3,600万円となりました。第1四半期では、函館に所有していたホテルを良いタイミングで売却できたことが、大幅な増収増益につながりました。
第2四半期では、従来からの分譲事業に加え、1棟売却と海外顧客への引き渡しが順調に進んだことで、利益面で通期計画を上回る着地となりました。
損益計算書
通期の計画は、当初の計画に据え置いておりますが、後半は来期に向けての仕込みと人材育成・業務効率の改善にも力を注ぎ、さらなる成長に向けて、土台を強化したいと考えております。
現在進行中の2018年通期業績予想について、加えてご説明させていただきます。
当期2018年6月期は、売上高で前期比6.1パーセント増の102億8,900万円を計画しております。創業当初からひとつのマイルストーンとしていました、売上100億円を超えるという計画を立てております。
計画のポイントとしましては、利益率の低い大口の取引を抑えることで、粗利率の改善を図りたいと思っております。また、販管費については海外展開の加速と、人材育成・人材獲得のコストを保守的に盛り込んでおります。
貸借対照表
続きまして、第2四半期の財務状況をご説明させていただきます。
第2四半期では、函館のホテルなどの販売用不動産の売却が進んだことで、流動資産が4億5,300万円減少しました。
また、販売用不動産の売却と同時に資金借入の返済を行いましたので、有利子負債も減少しております。(流動資産の)販売用不動産および仕掛販売用不動産が減少しておりますが、1年から1年半までの仕入れは、おおむね勘定しております。
セグメント別業績ハイライト
次に、セグメント別の業績についてご説明いたします。
セグメント別の構成比では、主力の不動産販売事業が全体の88パーセント、ストック型ビジネスの不動産賃貸管理・仲介事業が10パーセント、海外不動産事業が1パーセントとなりました。
主力の不動産販売事業が、全体を牽引しております。海外不動産事業は、アジアの投資家にXEBECを販売するインバウンドが好調ですので、引き続き注力をしていきたいと思っております。
今後の方針
続きまして、今後の方針についてご説明をさせていただきます。
今後の方針としましては、まずは東京都の単身世帯の増加を背景に、主力である不動産販売事業の安定成長を目指してまいります。
具体的には、主力商品でありますワンルーム型住戸の分譲で、年5パーセント以上の成長を目標としております。
その上で、ストック型ビジネスである賃貸管理業は、XEBEC以外の管理も積極的に行いまして、事業拡大を目指してまいりたいと思っております。
また、良質な収益不動産の保有にも、常にアンテナを張ってまいります。将来的には、ストック型ビジネスで当社の固定費をカバーできる程度の収益力を目標としております。
海外不動産展開につきましては、引き続きアジアを中心にした、グローバルな顧客層の拡大に努めていきたいと思っております。
さらに、新領域への取り組みも進めてまいります。具体的にはXEBECへのIoT導入、そしてその活用。商業ビルの不動産再生事業や、中古マンションの買い取り再販を進めてまいりたいと思っております。
トピックス Internet of Things(IoT)
今後の方針に付随しまして、いくつかのトピックスを補足させていただきます。
IoTの取り組みにつきまして、IoTの物件第1号として、本年1月に完成した東急池上線長原駅から徒歩3分の「XEBEC長原」の全住戸に、IoTを導入しました。
IoTの導入によりまして、お持ちのスマートフォンからエアコン・テレビ・照明・加湿器などが操作できるようになります。室温などもわかりますので、家に着く前に暖房をつけたり、部屋を暖かくしたりするなど、生活がより快適になります。
水漏れなどのトラブルでも、当社の賃貸管理部門にチャットで連絡ができるようになっております。IoTは、ウォシュレットと一緒でこれから標準になると思いますので、積極的に取り入れていきたいと思っております。
トピックス 株式分割(1:3)を実施
株式の流動性を目的としまして、(2018年)2月8日を基準日に、1株につき3株の割合で株式分割を実施いたしました。
これにより、発行済株式総数が112万株から338万株に増加しまして、投資金額も下がりましたので、流動性が向上いたしました。
利益還元
最後に、利益還元の方針についてでございます。利益還元の方針につきましては、現在の配当金を維持する方針でございます。昨年までは1株当たり、だいたい30円の期末配当を実施しております。3分割の株式分割によりまして、今期は1株当たり10円の期末配当を計画しております。
私からの説明は以上でございます。ご清聴ありがとうございました。
質疑応答:不動産市況の見通しは?
臼井:人手不足によって建築コストが上昇しておりますが、この傾向は東京オリンピック以降もあまり変わらず、建築コストも(引き続き)下がらないと考えております。
土地の値段についても、足下で大きく変わりはないと思っておりますので、駅近の物件開発をしっかり行っていくことが、一番の戦略だと思っております。
質疑応答:他社との差別化はどこで図っている?
臼井:(他社との差別化ができている点は)一番は物件の立地だと思っております。供給物件の60パーセント以上が、東京23区の駅から徒歩5分以内にありますのが、当社の取り柄だと思っております。それと、IoTなどの新しいことに積極的に取り組むことも、当社の特長だと思っております。
質疑応答:物件の仕入は好調なのか?
臼井:物件の仕入は、順調にやっております。土地が値上がりしておりますので、業界全体として23区外や神奈川県・千葉県・埼玉県にも開発エリアを広げていくという動きもあります。ただ、当社は原則として、長い目戦で安定している東京23区から離れずに仕入を進めていくという方針でやっております。
ただし吉祥寺ですとか、川崎市や横浜市などの人気エリアに限っては、23区外でも検討していきたいとは考えております。
恐縮ではございますが、以上で回答を締め切らせていただきたいと思います。長い間、お付き合いいただきありがとうございました。今後とも、投資家のみなさまのご期待に応えますよう、しっかりとした着実な成長をしていきたいと考えております。ご支援いただけると幸いでございます。
以上になります。本日は誠に、ありがとうございました。