2. 後期高齢者医療制度の保険料が2024年度から値上げに
後期高齢者医療制度の保険料は、ここ数年増加傾向にあり、2024年度においても保険料の値上げが決定しています。
大きな理由としては、少子化の影響により高齢者を支える現役世代が減少し、一人当たりの負担が高まっていることが挙げられます。
上記の背景から、負担分を「高齢者と現役世代で折半」できるよう、2年に1回の頻度で高齢者負担率が見直しされており、2024年度には実際に保険料の値上げがされる予定です。
2.1 後期高齢者医療保険料の値上げで負担が増えるのはどんな人?
2024年度の値上げについては、各都道府県や収入によって負担額が異なりますが、一例として厚生労働省「医療保険制度改革について」では、各年収ごとの保険料額の例を掲載しています。
上記表をみると、高収入の人ほど保険料の値上げによる影響・負担が大きいことが見込まれます。
たとえば、年収400万円の人の場合は増加額が1万4500円なのに対して、年収1100万円の人の場合は、13万円もの増加となります。
高収入の人ほど負担が大きくなる要因として、賦課限度額の引き上げがあり、これが負担額に直結していると言えるでしょう。
3. 低所得者には保険料の軽減措置もある?
後期高齢者医療の保険料が値上げにより、高収入の人ほど負担額が大きくなると解説しましたが、所得の低い人に対して、広域連合によっては「保険料の軽減措置」が予定されています。
具体的な保険料の軽減措置として下記が挙げられます。
- 均等割額の軽減
- 所得割額の軽減
- 被扶養者だった方の軽減
上記のように、低所得者における保険料の負担を軽減する目的で、各広域連合によって軽減措置が設けられています。
また、災害や事業の休廃止などで著しく所得が減少した場合は、申請により「保険料の減免」を受けられるケースがあります。
より詳しく知りたい方は、住所地を管轄する都道府県の後期高齢者医療広域連合のホームページで確認することをおすすめします。
4. 老後の保険料・税金負担を考えておこう
本記事では「2024年度から後期高齢者医療の保険料の値上げ」における概要や負担が増える対象者について解説していきました。
少子化の影響により、シニア世代における保険料の負担が大きくなりつつあります。
老後について「年金額(収入)」だけに目がいってしまいがちですが、そこから天引きされるお金(税金・保険料)にも目を向けて、老後に備えた準備や意識をしておけると良いでしょう。
参考資料
- 厚生労働省「令和6年度の年金額改定についてお知らせします」
- 東京都後期高齢者医療広域連合「保険料の決め方・賦課」
- 厚生労働省「医療保険制度改革について」
- 東京都後期高齢者医療広域連合「後期高齢者医療制度 保険料計算例」
太田 彩子