2024年1月19日、厚生労働省は来年度の年金額が2023年度から2.7%増額となることを発表しました。
もらえる年金額が少し増えるわけですが、それ以上にモノやサービスの価格が上昇しているので生活が楽になるわけではありません。
さて、老後への不安が高まる現代ですが、老後資金計画を考えるには「年金制度の仕組み」や「公的年金の受給額の目安」を知ることが大切です。
今回は2023年12月に厚生労働省から公表された「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとに、最新の厚生年金と国民年金の受給額を確認します。
また、年金支給日に「月額15万円」の年金額が振り込まれると思っていたのに「30万円」も振り込まれた事例から、年金の仕組みにも触れていきます。
1. 日本の公的年金制度「厚生年金と国民年金」の仕組み
日本の公的年金は、上記のように国民年金と厚生年金の2階建てになっています。
1.1 国民年金(1階部分)
- 原則、日本国内に住む20歳以上60歳未満の全員に加入義務がある
- 保険料は一律
- 納付した期間に応じて将来もらえる年金額が決まる
1.2 厚生年金(2階部分)
- 公務員やサラリーマンなどが加入する
- 収入に応じた保険料を支払う(上限あり)
- 加入期間や納付額に応じて将来もらえる年金額が決まる
個人によって加入する年金や納付期間が異なるため、将来の年金受給額には個人差があります。
特に厚生年金は年収に応じた保険料を支払うため、より個人差が大きくなっています。
2. 厚生年金「月額15万円以上」受給する人の割合は何パーセントか
厚生年金は国民年金に上乗せして加入するため、老後に受け取る年金は「国民年金+厚生年金」となります。
では、厚生年金の平均月額はいくらあるのでしょうか。厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」を参考に見ていきましょう。
2.1 厚生年金の平均年金月額
〈全体〉平均年金月額:14万3973円
- 〈男性〉平均年金月額:16万3875円
- 〈女性〉平均年金月額:10万4878円
※国民年金部分を含む
全体は14万3973円でしたが、男女で月約6万円の差が出ました。
全体の平均月額を上回る「月額15万円以上」の年金を受給する人は何パーセントいるのかみてみましょう。
2.2 【厚生年金】受給額ごとの人数(1万円刻み)
- 1万円未満:6万1358人
- 1万円以上~2万円未満:1万5728人
- 2万円以上~3万円未満:5万4921人
- 3万円以上~4万円未満:9万5172人
- 4万円以上~5万円未満:10万2402人
- 5万円以上~6万円未満:15万2773人
- 6万円以上~7万円未満:41万1749人
- 7万円以上~8万円未満:68万7473人
- 8万円以上~9万円未満:92万8511人
- 9万円以上~10万円未満:112万3972人
- 10万円以上~11万円未満:112万7493人
- 11万円以上~12万円未満:103万4254人
- 12万円以上~13万円未満:94万5662人
- 13万円以上~14万円未満:92万5503人
- 14万円以上~15万円未満:95万3156人
- 15万円以上~16万円未満:99万4044人
- 16万円以上~17万円未満:104万730人
- 17万円以上~18万円未満:105万8410人
- 18万円以上~19万円未満:101万554人
- 19万円以上~20万円未満:90万9998人
- 20万円以上~21万円未満:75万9086人
- 21万円以上~22万円未満:56万9206人
- 22万円以上~23万円未満:38万3582人
- 23万円以上~24万円未満:25万3529人
- 24万円以上~25万円未満:16万6281人
- 25万円以上~26万円未満:10万2291人
- 26万円以上~27万円未満:5万9766人
- 27万円以上~28万円未満:3万3463人
- 28万円以上~29万円未満:1万5793人
- 29万円以上~30万円未満:7351人
- 30万円以上~:1万2490人
- ※国民年金部分を含む
厚生年金を「ひとりで月15万円以上」受給しているのは46%でした。
なお、上記の年金額は「額面」となる点にご留意ください。
老後に受け取る年金からも税金や保険料が天引きされるため、実際の手取り額(振込額)は額面の85~90%程度となると考えておきましょう(家族構成や住んでいる地域、年金以外の所得等により異なります)。
たとえば、厚生年金が「手取りで15万円」であれば額面は約17万円程度ということになります。
厚生年金を額面で17万円以上受け取る人は全体の約34%。つまり、月額15万円の厚生年金を手取りで受け取る人は3割強ということになります。