学校の先生と聞くと「残業代があまり出ない」「勤務時間が長い」など、いわゆるブラックな職場であるイメージが強い方もいるのではないでしょうか。

しかし、学校の先生は「公務員」ゆえに、給与が安定しており、地域によっては高給取りとなる職種です。

では、老後の大きな資金となる「退職金」はどのくらいもらえるのでしょうか。

もうすぐ定年退職の季節。本記事では、学校の先生の退職金事情について詳しく紹介していきます。

老後資金「2000万円」の妥当性についても言及しているので、老後のお金が心配な方はあわせて参考にしてください。

1. 学校の先生の退職金は2000万円を超える?

学校の先生が退職時に受け取れる退職金の平均額を、総務省の「令和4年4月1日地方公務員給与実態調査結果」から見ていきましょう。

総務省の「令和4年4月1日地方公務員給与実態調査結果」の「教育公務員」の1人当たりの平均退職手当額は下記の結果となりました。

勤続年数別の退職金の平均額

勤続年数別の退職金の平均額

出所:総務省「令和4年4月1日地方公務員給与実態調査結果」を参考に筆者作成

  • 11年以上25年未満勤続後の定年退職等:1009万4000円
  • 25年以上勤続後の定年退職等:2263万5000円


勤続年数が25年未満の場合は、定年退職時に2000万円を受け取ることは難しく、平均の退職手当額は約1000万円となっています。

一方で、25年以上勤続して定年退職をしている学校の先生の場合は、退職金として2000万円以上を受け取れる可能性が高いです。

上記の結果からもわかるように、定年退職時に受け取れる退職金は、勤続年数が大きく影響しており、「公務員だから退職金は多くもらえる」というのは一概には言えないとうかがえます。

2. 退職金2000万円があれば老後は安泰?

数年前に「老後2000万円問題」が話題となったのをきっかけに、老後資金の目安を「2000万円」に設定している人もいるのではないでしょうか。

結論からお伝えすると、安泰な生活を送るための老後資金は人によって異なります。

つまり、2000万円でも不足する人もいれば、2000万円準備していなくても悠々自適な老後生活を送れる人もいるのです。

そもそも「老後2000万円問題」は、金融庁金融審議会の市場ワーキング・グループ報告書「高齢社会における資産形成・管理」の高齢夫婦無職世帯の収支が根拠の発端となっています。

上記図において、年金をベースにした実収入が「20万9198円」に対して、実支出が「26万3718円」であり、月に約5万5000円の赤字が発生しています。

もし、老後生活を65歳からスタートさせ、そこから30年間寿命を全うした場合、単純計算で1980万円の赤字が発生することから、「老後の赤字を補填するための2000万円が必要」と言われるようになったのです。

しかし、このシミュレーションは夫婦二人の「年金が約21万円」「支出が約26万円」であることを想定したものであり、実際には年金がより多かったり、支出が少なかったりすれば、2000万円なくても生活はしていけるでしょう。

そのため、一概に「全ての世帯において老後2000万円の貯蓄が必要」とは言えないことがわかります。