2. 2024年の首都圏新築マンションの供給見込みと価格の動向
前述した株式会社不動産経済研究所の「首都圏 新築分譲マンション市場動向 2023年」によると、2024年の首都圏新築マンションの供給見込みは3万1000戸。
2023年の2万6886戸と比べると4114戸(15.3%)増になるといいます。
供給エリア別の内訳は東京23区が1万3000戸、東京都下3000戸、神奈川県7500戸、埼玉県3500戸、千葉県4000戸です。
今後の首都圏マンション市場は、職人不足や建築資材の値上げによる販売価格の高騰、住宅ローン金利の上昇といった懸念材料はあるものの、都心部やその近郊エリアなどでは超高層マンションや大規模マンションなどの大型案件が数多く控えており、それらによる市場の活性化が見込まれています。
一方、新築マンションの販売価格については、下落する兆しは一向に感じられません。
2024年4月以降には建設現場においても一般企業と同様に時間外労働の上限規制が適用されることになっていて、この結果マンションの着工から完成までの工期が今までよりも延びることは避けられず、建築費の上昇につながってしまいます。
またインバウンドの回復によりホテルの需要も高まっているので土地の高騰が当面続き、デベロッパーによる都市部でのマンション用地の取得は、今後さらに難しくなるでしょう。
これらのことを考えると、2024年も都市部の新築マンション価格は上昇することが懸念されます。
デベロッパーにはマンションの販売価格を下げられない代わりに、新たな販売戦略を構築することが求められています。
特に東京都心部のマンションは希少性が高く、いまや一般庶民には手が届かないものへとなりつつあります。
3. まとめにかえて
首都圏の新築分譲マンションの供給量の中では、東京23区内が4割以上のシェアを占めているので、全体の平均は23区の動向に左右されてしまうのが実情といえます。
したがって2024年の市場の動向を予想する上では、東京23区とその他のエリアを分けて考えた方が良いでしょう。
今後は東京23区内以外のエリアでは価格上昇を抑えて普通の会社員でも購入しやすい価格帯にするために、首都圏の主要ターミナル駅周辺や郊外で供給されるマンションが増えていくことが予想されます。
参考資料
亀田 融