3. 年金から天引きされるもの4つ。6月送付の年金振込通知書で確認を
はじめに確認したように、厚生年金の標準夫婦が月約23万円といっても、税金や社会保険料を天引きされます。
年金から天引きされるものを確認しましょう。
3.1 年金から天引きされるもの
- 所得税と復興特別所得税
- 個人住民税
- 介護保険料
- 後期高齢者医療保険料、国民健康保険料(税)
それぞれの内容を確認します。
3.2 所得税および復興特別所得税
公的年金は雑所得の扱いになり、基本的に「65歳未満なら108万円、65歳以上なら158万円」を超えると課税されます。
また、所得税の源泉徴収の際にあわせて復興特別所得税もかかります。
※障害年金や遺族年金は非課税です。
3.3 住民税
前年中の所得に対してかかる住民税に関しても、年金所得が一定になると課税され、基本的に天引きされます。
3.4 国民健康保険料・後期高齢者医療制度の保険料
国民健康保険や後期高齢者医療制度に加入していると、原則として年金から保険料が天引きされます。
ただ天引きには「介護保険料が特別徴収になっている」など一定の条件があるため、普通徴収(納付書や口座振替)になるケースもあるでしょう。
※国民健康保険と後期高齢者医療制度は、いずれかの加入になります。
3.5 介護保険料
40~64歳までは健康保険料に含めて払っていた介護保険料も、65歳以上では「第1号」被保険者として単独で支払うことになります。
一定の要件を満たすことで年金から天引きされます。
詳しくは毎年6月に金融機関等の口座振込で年金を受け取る方に対して送られる「年金振込通知書を確認しましょう。「年金振込通知書」は「6月から翌年4月」まで支払われる金額をお知らせするものです。
4. 「年金月額22万円の夫婦」天引き後の手取り額はいくらか
では、税金や社会保険料はどれくらい天引きされるのでしょうか。
総務省統計局の「家計調査報告 家計収支編 2022年(令和4年)平均結果の概要」より、「65歳以上の夫婦のみの無職世帯」の家計収支から確認します。
4.1 65歳以上・夫婦のみの無職世帯「月の終始」
4.2 月の収入
- 収入:24万6237円(うち社会保障給付)22万418円
4.3 月の非消費支出
- 非消費支出:3万1812円
年金は22万418円と考えられ、税金や社会保険料の非消費支出は3万1812円です。
手取りで見ると「18万8606円」という結果に。
上記は例となりますが、年金が月22万円夫婦でもらえると思っても、税金や社会保険料を引くと手取りは18万円台です。そこから生活するとなると、年金だけでは生活するのが難しい方が多いでしょう。
5. 年金額は毎年変わる。公的年金以外の備えを
2024年度の厚生年金の標準夫婦では月23万円を超えました。
ただ、月22万円受給する夫婦でも約3万円ひかれるため、手取りを考えると年金だけでの生活は難しいものです。
年々、不安が高まる公的年金。個々人の老後対策が求められます。
老後資金の対策は一つだけでは不安ですが、仕事による収入、預貯金、資産運用など複数の選択肢をもつことでリスクを抑えることもできます。
これを機に、家庭に合った老後対策について考えてはいかがでしょうか。
参考資料
- 厚生労働省「令和6年度の年金額改定についてお知らせします」
- 日本年金機構「年金振込通知書」
- 日本年金機構「年金から介護保険料・国民健康保険料(税)・後期高齢者医療保険料・住民税を特別徴収されるのはどのような人ですか。」
- 厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 総務省統計局「家計調査報告 家計収支編 2022年(令和4年)平均結果の概要」
宮野 茉莉子