公的年金の受給開始年齢は原則「65歳」ですが、受け取りのタイミングを遅らせることで「本来よりも多く年金を受け取れるようになる」制度をご存知でしょうか。
65歳以降も働き続ける「はたらくシニア」が多くなった現代では、嬉しい制度といえますが、制度を利用することで具体的にどのくらい年金が増えるのでしょうか。
本記事では、受給開始を遅くして年金を多く受け取る「繰下げ受給」について詳しく紹介していきます。
厚生年金「月額15万円」の場合の、繰下げ受給額についても紹介しているので、参考にしてください。
1. 公的年金の「繰下げ受給」とは?
繰下げ受給とは、公的年金の受け取りを遅らせることで「受給額をアップ」させられる制度を指します。
1ヶ月遅らせるごとに増加率が変化していき、1ヶ月ごとに0.7%、1年で8.4%受給額が増額し、最大で84%も本来の金額から年金額を増やすことができます。
たとえば、「年金月額が10万円」だった場合に繰下げ受給制度を利用すると、下記のように受給額が変わります。
- 1ヶ月遅らせた場合:月額10万700円
- 1年遅らせた場合:月額10万8400円
- 10年遅らせた場合:月額18万4000円
受給開始年齢で受け取った場合「月額10万円」だった年金が、10年受給を遅らせることで「月額18万4000円」にまで増加します。
近年では定年退職後も働くシニアが増えてきていることから、「働けるうちは働いて老後に備える」という選択をしやすくなったのは嬉しいものといえます。
2. 【最新】将来受け取れる年金月額を確認
老後に、繰下げ受給を選択する背景として「現状の年金額では十分でない」ことから、受給開始日を遅らせることで老後に備えているのだとうかがえます。
では、老後に受け取れる年金月額はどのくらいなのでしょうか。
厚生労働省年金局の「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、厚生年金・国民年金の平均月額は下記のとおりです。
2.1 【厚生年金】
- 男女全体平均月額:14万3973円
- 男性平均月額:16万3875円
- 女性平均月額:10万4878円
2.2 【国民年金】
- 男女全体平均月額:5万6316円
- 男性平均月額:5万8798円
- 女性平均月額:5万4426円
国民年金は、保険料が一律であるため個人差はあまりありませんが、厚生年金と比較すると受け取れる受給額が大幅に少なくなっています。
また、厚生年金の場合、現役時代の年収や加入期間によって受け取れる受給額が大きく変動するため、受給額に差が生じやすくなっています。
年金の平均月額をみて「少ない」と感じた方は、今のうちから繰下げ受給の検討をしておいても良いかもしれません。
なお、ご自身の将来の年金見込み額をより詳しくしりたい場合は、「ねんきんネット」や「ねんきん定期便」で確認できます。