男子フィギュアの羽生選手が五輪連覇! 一番ホッとしたのは誰?

有数のドル箱コンテンツになった現状は砂上の楼閣か

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熱戦が続く平昌オリンピック、日本選手も大活躍

平昌(ピョンチャン)で開催されている第23回オリンピック冬季競技大会の熱戦が続いています。

日本選手も大活躍しており、2月19日正午時点で獲得したメダル総数が10個(金2、銀5、銅3)と、地元開催だった1998年長野五輪に並びました。今回は日本と時差がないため、テレビの前で声援を送っている人も多いと思われます。

男子フィギュアで羽生結弦選手が連覇を達成!

こうした中、最大の注目競技はフィギュアスケート男子だったと思われます。結果はご存じの通り、羽生結弦選手が金メダルで五輪連覇という偉業を達成し、宇野昌磨選手も銀メダル獲得という最高のものとなりました。

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特に、足首の怪我が心配された羽生選手が、本番では見事な演技を披露して優勝したことに、多くの日本国民が感動したことでしょう。

改めて、羽生選手、五輪連覇の金メダルおめでとうございます。

日本スケート連盟とフジテレビは羽生選手の現役続行宣言に安堵?

さて、今回の男子フィギュアスケートの結果に最も喜んで安堵したのは、日本スケート連盟(JSF)と広告代理店を含む放送メディアだったのではないでしょうか。

特に、フィギュアスケートの番組放送に並々ならぬ力を入れているフジテレビが、ホッと胸を撫で下ろしていることは容易に想像できます。

というのは、羽生選手が競技終了後に当面の現役続行を明言したからです。実は、羽生選手は従前から事あるごとに、平昌五輪を最後に現役引退することを示唆していました。

テレビ局にとってフィギュアスケート競技はドル箱コンテンツの1つ

現在、テレビ局にとってフィギュアスケートは、サッカー日本代表戦、プロ野球WBC、大学対抗箱根駅伝などと並んで高視聴率が稼げるスポーツのドル箱コンテンツの1つです。

しかも、サッカー日本代表の人気凋落が顕著、プロ野球WBCは4年に1度の開催、箱根駅伝も正月のみということを踏まえると、フィギュアスケートの存在価値が益々高まっていると考えていいでしょう。

まずは直近の冬季五輪におけるフィギュアスケートの視聴率を振り返ってみます(ビデオリサーチ調べ。いずれも関東地区の番組平均視聴率、2018年は速報値)。

  • 2006年トリノ五輪:31.8%(年間第10位、荒川静香が金メダル)
  • 2010年バンクーバー五輪:36.3%(年間第8位、浅田真央 vs. キム・ヨナ)
  • 2014年ソチ五輪:16.6%(年間順位は30位以下、羽生結弦が金メダル)
  • 2018年平昌大会:33.9%(年間順位??、羽生結弦が五輪連覇)

注:女子フリー演技の後半は「NHKニュース」内で放送されたため、そのニュース番組の視聴率である

ソチ五輪の数字がやや低くなっていますが、日本でテレビ観戦するには時差が一番厳しかったことを割り引く必要があるでしょう。なお、同じソチ五輪では浅田真央選手のフリー演技も15.1%を記録しています。

そして、今回の記録33.9%も年間順位では相当に上位へランクされると予想されます。

フィギュアスケートは五輪以外の競技大会でも高い視聴率

また、フィギュアスケートの高視聴率は五輪に限りません。毎年年末に開催される全日本フィギュア、毎年春に開催される世界選手権なども軒並み高い視聴率を記録しています。

2005年~2015年の11年間において、年間視聴率トップ30にフィギュアスケート番組が1つも入らなかったのは2012年のみで、残りの10年間のうち7年はトップ10に少なくとも1つが入りました。NHK紅白歌合戦と変わりない記録だった年も少なくありません。

視聴率だけが全てとは言いませんが、テレビ離れが進んだと言われる現在にあって、大変重要なコンテンツになっていることがわかります。

そして、これら高視聴率を記録したフィギュアスケート番組のほとんどをフジテレビが放映していたのです(除く五輪)。

人気選手の出場が減り始めた2016年以降は視聴率も低迷へ

ところが、2016年と2017年は、年間視聴率トップ30にフィギュアスケート番組は1つも入りませんでした。この理由として、羽生選手の全日本フィギュア欠場(両年とも)、高橋大輔選手や浅田真央選手など人気選手の引退などがあげられます。

しかし、これは逆に言うと、ここまでのフィギュアスケート人気は、こうしたスター選手によって支えられてきたことになり、フィギュアスケート競技そのものに対する認知度は低いままである可能性もあります。

公式かつ統一されたデータはないようですが、日本のフィギュアスケートの競技人口は約5千人に過ぎず、米国の約17万人、ロシアの約15万人、カナダの約12万人に比べて大きく見劣りしているという報道もかつてありました。

“フィギュアスケートバブル”の崩壊に今から備える必要がある

また、スピードスケート競技やショートトラック競技に対する人気が今一つ高まらないことを踏まえると、スポンサー収入面などで見ても、JSFはフィギュアスケートへ頼らざるを得なくなります。

そのフィギュアスケートが一握りのスター選手の人気で成り立っているとするならば、まさしく砂上の楼閣と言えるでしょう。

こうした背景を見ても、JSFやフジテレビが羽生選手の金メダルよりも、その後の現役続行宣言のほうに喜んだのは十分理解できる状況なのです。

しかし、羽生選手にもいつかは引退の時がやってきます。JSFやテレビ局は、目先の収入や視聴率だけでなく、長期的な視野に立った選手育成とフィギュアスケート競技の定着に注力すべきと言えましょう。

LIMO編集部

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