3. 公的年金はいくらもらえますか?
老後生活における主な収入源は「公的年金」です。厚生年金と国民年金にわけて、平均的な受給額を知っておきましょう。
3.1 厚生年金の平均受給額
3.2 厚生年金の平均年金月額
〈全体〉平均年金月額:14万3973円
- 〈男性〉平均年金月額:16万3875円
- 〈女性〉平均年金月額:10万4878円
※国民年金部分を含む
全体平均は14万3973円ですが、男女で月約6万円の差が出ました。また個人差が大きいのも厚生年金の特徴です。
というのも、厚生年金の報酬比例部分は「現役時代の報酬や加入期間」が大きく影響するからです。年収が低かった方や加入期間が短かった方は、年金収入だけで生活するのは難しいかもしれません。
厚生年金は国民年金を含む平均月額です。では、1階部分の「国民年金部分だけ」の平均月額はいくらでしょうか。
3.3 国民年金の平均受給額
3.4 国民年金(老齢基礎年金)の受給額
〈全体〉平均年金月額:5万6316円
- 〈男性〉平均年金月額:5万8798円
- 〈女性〉平均年金月額:5万4426円
国民年金のみでは5万6316円となりました。
貯蓄が十分にない世帯にとって、十分とはいえない金額と言えます。もし夫婦ともに国民年金のみに加入していた場合は、11万円程度が収入になります。
基本的には収入の中でやりくりすることになるので、先程の収支どおりではなく「10数万円程度に生活水準を落とす」という調整が必要になるでしょう。
自分が将来年金をいくら受給できるかを把握するために、「ねんきんネット」や「ねんきん定期便」などの活用が必須となります。
なお、2024年1月19日に厚生労働省より公表された2024年度の年金額は、老齢基礎年金の満額で6万8000円、夫婦ふたり分の標準的な厚生年金で23万483円でした。
4. 必要な老後資金を考える
もしも平均的な「65歳以上の夫婦のみの無職世帯(夫婦高齢者無職世帯)」という場合、家計収支では毎月「2万2270円」の赤字になることがわかりました。
では、現役を65歳で引退したのち老後の生活を送るとしたら、上記の赤字分を埋め合わせするために、老後資金として必要な費用はどのくらいになるのでしょうか。
仮に平均寿命から考えるとすると、65歳にすっぱりリタイアした場合、約16年〜22年が老後の生活期間となるでしょう。
その場合に不足する金額を単純に計算すると、「約428万〜588万円」となります。
長生き家系で100歳まで生きるとした場合さらに必要な老後資金が増えるでしょう。
老後の生活がいつ終わるかは人それぞれですが、「長生きリスク」なる言葉も生まれた現代。余裕をもった老後のためにもあらかじめ資産を形成しておくことが大切です。
なお、上記の不足金額はあくまで平均的な支出の赤字分のみを補填するための費用です。場合によっては、ここにケガ・病気や介護費用なども必要になることがあるでしょう。
介護保険や医療保険を利用する場合でも自己負担額はかかります。万が一の事態も想定して、老後生活に向けた貯蓄をおすすめします。
5. まとめにかえて
老後の年金や収支を確認してみました。年金だけで悠々自適な生活を過ごすのは、難しい時代に突入してきたように感じます。
老後に備えるための解決策は、やはり元気で健康に長く働くことなのかもしれません。
しかし、長く働くというのはとても厳しく難しい道であるため、不安な方はNISAやiDeCo等も活用して、少しでも老後の心配をなくしていきましょう。
自分の老後は自分で備える、時代は変わりつつあるので乗り遅れないことが大切になります。
参考資料
- 厚生労働省「令和6年度の年金額改定についてお知らせします」
- 総務省統計局「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2022年(令和4年)平均結果-(二人以上の世帯)」
- 厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 総務省統計局「家計調査報告 家計収支編 2022年(令和4年)平均結果の概要」
杉田 有毅