70歳以上人口は2889万人で、前年に比べ20万人増で総人口の23.2%を占めています(参照:総務省統計局「統計からみた我が国の高齢者」2023年9月17日公表)。
こうした70歳代のお金事情は、我々現役世代のものと違いがあるのでしょうか。2019年に話題となった「2000万円問題」ですが、老後を迎えている団塊の世代の方の実情はどうなのでしょうか。
そこで今回は、70歳代以上の方が、実際に「貯蓄2000万円以上」を保有しているのか現状を確認していきましょう。皆さんも老後にむけた準備をしていく上で参考にしていきましょう。
1. 75歳以上人口が初めて2000万人を超える
総務省が公表する「統計からみた我が国の高齢者」によると、75歳以上人口が初めて2000万人を突破しました。
これは、「団塊の世代」(1947年~1949年生まれ)が2022年に75歳を迎えたことによると考えられます。
総人口に占める割合は、70歳以上人口で23.2%、75歳以上人口で16.1%、80歳以上人口は10.1%です。
80歳以上人口は、総人口に占める割合が初めて10%を超え、10人に1人が80歳以上となりました。
少子高齢化が進む中、今後さらに高齢者の割合が高まると考えられます。
年金制度を支える現役世代と年金を受け取るシニア世代のバランスが崩れると、将来、年金の給付水準が低くなるかもしれません。
こうした背景があり、わたしたち現役世代は年金収入に頼りすぎないよう、老後資金の準備がマストとなっています。
では、いままさに年金生活をすごす70歳代シニアは、貯蓄をどのくらい保有しているのでしょうか。
2. 70歳代以上世帯「貯蓄額」平均は2411万円
総務省統計局「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2022年(令和4年)詳細結果-(二人以上の世帯)」によると、70歳代以上の貯蓄の平均額は2411万円です。
とはいえ、貯蓄がある世帯とない世帯にわかれると予想されるため、貯蓄現在高ごとの世帯数も確認します。
2.1 70歳代以上の貯蓄現在高ごとの世帯数
70歳代以上の平均貯蓄額:2411万円
- 100万円未満:14万896世帯(7.94%)
- 100万円~:6万4999世帯(3.47%)
- 200万円~:6万426世帯(3.22%)
- 300万円~:6万9205世帯(3.69%)
- 400万円~:6万2104世帯(3.31%)
- 500万円~:7万670世帯(3.77%)
- 600万円~:5万2589世帯(2.81%)
- 700万円~:4万9056世帯(2.62%)
- 800万円~:6万433世帯(3.22%)
- 900万円~:4万6408世帯(2.48%)
- 1000万円~:10万9329世帯(5.83%)
- 1200万円~:8万5755世帯(4.57%)
- 1400万円~:6万9842世帯(3.73%)
- 1600万円~:8万2145世帯(4.38%)
- 1800万円~:5万9305世帯(3.16%)
- 2000万円~:15万265世帯(8.02%)
- 2500万円~:12万1065世帯(6.46%)
- 3000万円~:17万7308世帯(9.46%)
- 4000万円~:33万4754世帯(17.86%)
最も多いのは「4000万円超」の世帯のようです。
すでに貯蓄残高は減少傾向にある(取り崩している)世帯は多いかもしれませんが、それでも4000万円以上を残しているということです。
かつて話題となった「老後2000万円問題」の「2000万円」をクリアする世帯は合計78万3392世帯。70歳代総世帯の約42%を占める結果になりました。
一方で、現在貯蓄高が100万円に満たない世帯は14万8896世帯で約8%です。
必要な貯蓄額、安心できる貯蓄額は世帯により異なるものですが、経済的にも精神的にもゆとりをもって長い老後を過ごすためには、まとまった貯蓄を準備しておきたいものです。