子育ては「子どもを見守ることが大切」と言われます。しかし理想と現実は違うもの。「見守っていても動かないから口うるさく言う」という方も多いのでは。
我が家の小1の長男も、宿題はやるものの学校の用意を嫌がります。「帰ってきたらおやつを食べて宿題。そのあとランドセルの中身を出して、明日の用意」と親が決めても、なかなかその通りにはいきません。
ガミガミ言ったところで最初のうちは動くものの、毎日言われれば子どもも慣れてしまいますよね。目指したいのは、子どもが自分で考えて行動する姿。見守るのにも方法があり、ただ見ているだけでは見守るとは言えないのです。
隣で一緒に歩きながら見守る
見守るというと、「子どもに任せれば自分で考えてできるようになるだろう」と捉えてしまいます。たとえば子どもが熱中しているブロック遊びやお絵描きなど、遊びの場面ではそれで良いでしょう。子どもが自分で工夫しますし、自分で考えた経験は自信にもなります。
一方で着替えや歯磨きといった生活習慣、園や学校の用意、宿題などは大人が手助けをする必要があります。着替えひとつとっても、「気候に合わせた着替え(下着を何枚着るか、長袖か半袖か、厚手か薄手か)」など基本を理解するまで年月がかかりますよね。
イメージは子どもの前を歩いて指示出しするのでなく、隣で一緒に歩いて手助けをする声かけ。ガミガミ言う方が早いですが、それではいつまでもガミガミ言われてやっと動く子に育つでしょう。長い目で見れば「急がば回れ」方式で、自ら動く子になるよう導いていきましょう。コツを5つほどご紹介します。
1:「その子に合ったやり方」を考える
見守るときに大切なのは、「その子に合ったやり方を考える」ことでしょう。
たとえば「おやつの後に宿題をやると決めましょう」と推奨されても、子どもにはその子なりの体力・気質・性格・ペースがあります。特に園や学校という社会に出ていると「自分の気持ちを友達や先生に言える・言えない」「いつも自然体でいられる・頑張ってしまう」「ストレスを溜めない・溜めやすい」など、大人でもタイプが分かれますよね。
長男は「自分の気持ちを友達に言えない・ストレスを溜め込んで我慢する・いつも頑張って気を遣う」タイプ。スクールカウンセラーに相談し、帰宅後は彼の一番好きなゲームをしてストレス発散してから宿題をしています。好きなことを思いきりやった後は、「やらねばならないこと」もそこまで苦がなくできるようです。一方でやるべきことはサッサとやって外に遊びに行きたいというアクティブな子もいるでしょう。
その子にあった方法を考えると、何をやるにもスムーズにいきやすいです。
2:自立&時短になる環境作りを
子育ては時間がかかりますが、親も忙しいのが現実。アレコレ手をかけて結局イライラするのでは、元も子もありません。「子どもが分かりやすい環境作り」をすれば、子どもの自立にもなり、親が教える際の時短にもなります。
たとえば「用意するものや朝やることはボードに書く」「持ち物を小箱でわかりやすく仕分け名前を書いておく」「ご飯と歯ブラシを一緒に出す」「玄関にハンカチ・ティッシュを置く」など試しましょう。
3:一緒にやる
何でもはじめは子どもと一緒にやります。子どもはママと一緒が大好きですから、何をするにも喜ぶでしょう。段々と自分でやらせ、親は最終確認のみするようにしていきます。
4:選択肢を与える
自分で考えて動けるようになるためには、子どもがいろんなことを知っていて、経験していることが大切になります。
子どもに教える際には最初から答えを出すのではなく、ママが子どもの頃の体験談を話したり、「ママはこう思うけど、◯◯はどう思う?」と意見を出し合いながら答えを模索してみましょう。注意したり危険を教える際は、ダメな理由をきちんと説明します。
多くのことを知ることで、子どもは複数の選択肢を持つことができ、自分でどうすべきか考えられるようになります。
5:言うより聞く
先に親が言うより、子どもに聞きましょう。子どもがなかなか宿題をやらなかったら、「早く宿題をしなさい」と言うより、「いつから宿題始めるの?」と聞くのです。
これには2つの効果があり、まず親に言われるより聞かれることで、子ども自身が考える機会が生まれます。また前者は「子どもがやらないから急かす」、後者は「子どもが自分で始めるよう促す」意味合いのある声かけ。後者の方が、子どもも前向きに行動しやすいでしょう。
まとめにかえて
ちょっとした声かけや工夫で、見守っていても子度もが自分で考えたり、動きやすくなります。大前提として、普段から「あなたならうまくいく」という視線で子どもを見たり、実際に子どもに伝えてみましょう。「親に信頼されている」と思うと子どもは張り切りますし、自分で考えて行動するようになるものですよ。
宮野 茉莉子