2024年4月から年金額は原則2.2%引き上げられますが、年金からは税金や社会保険料が天引きされます。

これから年金を受け取る人は、年金からいくらくらいのお金が天引きされるのか気になる人も多いでしょう。

本記事では、年金から天引きされるお金について解説します。

年金月額18万円の人を例に、天引きされる金額の概算方法も紹介しますので、老後の家計を考えるときの参考にしてください。

1. 年金から天引きされる税金と社会保険料

まず最初に、年金から天引きされる税金や社会保険料の種類と、天引きされる条件について解説します。

1.1 天引きされる税金と社会保険料の種類

年金からは税金と社会保険料が天引きされます。

年金から天引きされる税金の種類は、「所得税」と「住民税」です。

サラリーマンが給与所得に対して課税されるのと同様に、年金受給者は年金所得に対して所得税や住民税が課税されます。

年金から天引きされる社会保険料の種類は、「国民健康保険料」と「介護保険料」です。

会社に勤務している人は、給与から健康保険料が天引きされるので年金からの天引きはありません。

また、75歳以上の人は国民健康保険料の代わりに後期高齢者医療保険料が天引きされます。

なお、年金から社会保険料を天引きすることを「特別徴収」と呼びます。

1.2 年金から天引きされる条件

住民税や国民健康保険料、介護保険料が天引きされるのは、原則年金額(年額)が18万円以上の人です。

国民年金保険料と介護保険料の合計金額が、年金支給額(2カか月毎に支払われる年金額)の1/2を超える場合、国民健康保険料は特別徴収されません。

75歳以上の人の天引き条件は、上記の国民保険料を後期高齢者医療保険料に置き換えたものです。

所得税については、公的年金等控除を除く所得控除がなければ原則次の通りです。

  • 65歳未満の年金受給者:年金額108万円以上
  • 65歳以上の年金受給者:年金額158万円以上


上記の金額は、公的年金等控除と基礎控除の合計金額を基にしています。

公的年金等控除は、年金額が一定額の範囲なら65歳未満の人は60万円、65歳以上の人は110万円です。

また、所得が2400万円以下ならば基礎控除は48万円です。

2. 年金から天引きされる税金や社会保険料の計算

次に、天引きされる税金や社会保険料の計算方法について解説します。

2.1 所得税

所得税は、給与所得や年金所得を合算した上で、各種控除を差し引いて計算します。

ただし、年金から天引きされる所得税は、年金支給額から次の金額を控除した金額の5.105%(所得税5%と復興特別所得税0.105%)です。

  • 基礎控除と公的年金等控除(65歳以上は158万円)
  • 配偶者控除や扶養控除など(扶養親族等申告書を事前に提出している場合)

上記の控除後の金額がマイナスの場合、所得税はかかりません。

2.2 住民税

住民税には所得に応じて課税される「所得割」と所得に関係なく一律に課税される「均等割」があります。

地方自治体によって異なりますが、所得割は所得金額の約10%、均等割は年額で約6万円です。

所得が少ない場合は住民税が非課税になることもあります。

詳細については、居住地の市区町村で確認しましょう。

2.3 国民健康保険料と介護保険料

国民健康保険料(または後期高齢者医療保険料)と介護保険料の金額も所得に応じて異なり、また市区町村(または広域連合)によっても多少異なります。

計算方法は複雑ですが、市区町村のホームページなどで試算できるケースもあるので活用しましょう。

参考資料欄に大田区のホームページを掲載しますので参考にしてください。