3. 年金月額18万円の人の天引き金額の計算
最後に、年金月額18万円の人の天引き金額を計算してみましょう。
前提条件を次の通りとします。
- 65歳以上の夫婦2人世帯で収入は年金のみ
- 夫の年金年額は216万円(月18万円)、妻は100万円
- 夫に適用されるのは基礎控除と公的年金等控除、配偶者控除38万円のみ
夫の課税所得は、年金額から基礎控除や公的年金等控除、配偶者控除を差し引いて20万円です。
住民税の課税所得は、基礎控除が43万円であるため25万円となります。
所得税率を5.105%、住民税の所得割の税率を10%、均等割を6万円とすると各税額は年間で次の通りです。
- 所得税:20万円✕5.105%=1万210円
- 住民税:25万円✕10%+6万円=8万5000円
国民健康保険料と介護保険料は、大田区の例で次の通りです。
- 国民健康保険料:18万617円(夫婦2人分)
- 介護保険料:7万9200円
それぞれの天引き金額を合計すると年額36万円(月3万円)で、年金月額18万円の人の手取りは約15万円となります。
4. まとめにかえて
年金から天引きされるのは、所得税と住民税、国民健康保険料(または後期高齢者医療保険料)、介護保険料の4つです。
65歳以上の夫婦2人世帯で年金収入のみの場合、実際の手取り額は約15万円(配偶者の年金額や居住地、各種控除の金額などによって異なる)です。
4.1 参考)直近の厚生年金と国民年金の支給額
参考までに、直近データから厚生年金と国民年金の支給額(額面)をご紹介します。
厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、厚生年金の平均月額(国民年金を含む)は次のとおりです。
- 〈全体〉平均年金月額:14万3973円
- 〈男性〉平均年金月額:16万3875円
- 〈女性〉平均年金月額:10万4878円
続いて国民年金については、平均月額が次のとおりとなりました。
- 〈全体〉平均年金月額:5万6316円
- 〈男性〉平均年金月額:5万8798円
- 〈女性〉平均年金月額:5万4426円
老後の資金計画を検討するときは、年金から天引きされる税金なども考慮して収支計画を立てましょう。
参考資料
- 日本年金機構「年金Q&A (年金からの介護保険料などの徴収)」
- 生命保険文化センター「公的年金の税金(所得税)はどうやって計算される?」
- 総務省「個人住民税」
- 大田区「令和5年度 国民健康保険料の試算」
- 大田区「介護保険料」
- 厚生労働省「令和6年度の年金額改定についてお知らせします」
- 厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
西岡 秀泰