2. 標準的な夫婦は年金が「約46万円」支給される理由

2024年度からは、標準的な夫婦の年金は23万483円であるとお伝えしました。

基本的に年金は偶数月の15日(土日祝日の前は直前の営業日)に2ヶ月分が支給されるため、1回あたりの年金額は「23万483円×2=46万966円」となります。

約46万円が支給されると聞くと、羨ましいと感じる方もいるでしょう。

ただし、この年金額は「夫婦2人分」「2ヶ月分」である点に注意が必要です。また、2024年度といっても4月支給分から変わるわけではありません。

年金は前月までの2ヶ月分が一度に支払われるという性質上、実際に支給されるのは6月からとなります。

さらに忘れてはならない点として、年金からは税金や保険料が天引きされることも押さえておきましょう。

3. 年金から天引きされるお金

給与から天引きされるお金があるように、年金から天引きされるお金もあります。

天引きされる条件はそれぞれで決まっているため、全員にあてはまるわけではありませんが、主に以下の4つのお金が天引きされる可能性があることを知っておきましょう。

  • 所得税と復興特別所得税
  • 個人住民税
  • 介護保険料
  • 後期高齢者医療保険料、国民健康保険料(税)


所得税や住民税などは、そもそも所得が一定以下であれば非課税となり、天引きされることはありません。

一方、健康保険料や介護保険料はどれだけ所得が低くても支払いの義務があるため、もし天引きとならなくても普通徴収で納める必要があります。

実際の振込額は、6月に送付される年金振込通知書で確認できます。夫婦それぞれで確認しておきましょう。

4. 国民年金と厚生年金の支給額(額面の平均)

2024年度の年金額が公表されたものの、これはあくまでも「国民年金の満額」と「モデル夫婦の厚生年金額」です。

誰もが同じ水準の年金を受け取れるわけではありません。

参考までに、2023年12月に更新された最新データから、今のシニアが受給する年金額を見ていきましょう。

4.1 国民年金(老齢基礎年金)の受給額平均

国民年金の受給額平均

出所:厚生労働省「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成

〈全体〉平均年金月額:5万6316円

  • 〈男性〉平均年金月額:5万8798円
  • 〈女性〉平均年金月額:5万4426円

平均は男女ともに5万円台ですが、ボリュームゾーンは6万円~7万円未満です。個人差はそこまで大きくありません。

4.2 厚生年金(老齢厚生年金)の受給額平均

厚生年金の受給額平均

出所:厚生労働省「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成

〈全体〉平均年金月額:14万3973円

  • 〈男性〉平均年金月額:16万3875円
  • 〈女性〉平均年金月額:10万4878円

※国民年金の金額を含む

5. 老後の対策を考える

年金の公表額を知って「少ない・足りない」と感じた場合は、早急に対策を始めましょう。

老後対策といっても、やみくもに貯金を増やすだけでは効率的でないかもしれません。

  • 働き続けるためにスキルを磨く
  • 健康を維持するために健診を受け続ける
  • 老後も資産運用を活用し、資産が減るスピードをゆるやかにする
  • 厚生年金の加入期間を伸ばして年金額をあげる
  • 不動産収入などの不労所得を得る
  • iDeCoや個人年金保険などで独自の年金を作る

など、対策方法は多岐に渡ります。組み合わせることでデメリットをカバーする効果もあるでしょう。

どれが自分にあっているか、まずは情報収集から始めてみてはいかがでしょうか。

参考資料

太田 彩子