親の資産額を知らない子どもが約9割

ちなみに、家族信託サービスを提供する株式会社ファミトラが2023年9月に公表した「親の老後のお金調査」によると、8割の人が「親の介護施設入居には親の資産をあてにしている」という結果に。

一方で、約8割の人が親の預金額を知らず、約9割の人が親名義の不動産は売却できなくなる可能性に備えて対策をとっていないことも報告されています。

ちなみに、金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査 令和4年調査結果」によると70歳代世帯の金融資産保有額は以下の通り。

  • 二人以上世帯:平均1906万円・中央値800万円
  • 単身世帯:平均1433万円・中央値485万円

平均は二人以上世帯で1906万円、単身世帯で1433万円ですが、より実態に近い中央値を見ると、二人以上世帯は800万円、単身世帯は485万円にまで下がります。

資産状況や年金額は、もちろん世帯によって異なります。しかし、介護費用は、まずは「親自身のお金から出してもらう」心構えが大切です。子ども自身の資産を崩してまかなったり、介護離職を選択したりして子ども自身の暮らしに影響が及ぶことは極力避けたいものです。

「要介護」は突然訪れることも少なくありません。

親が元気なうちに、還暦や定年退職などの自然なタイミングで、将来の介護やお金のことについて話し合う時間を持つことは、まさかのときに「枯渇しない」介護資金計画に繋がるかもしれません。必要に応じて、任意後見や家族信託の制度の活用を検討していくのも一案でしょう。

参考資料

吉沢 良子