2. 年金額の計算方法
国民年金と厚生年金の受給額を知るためには、計算方法を理解しておくと良いでしょう。
年金額の計算方法は国民年金と厚生年金とで異なるため、それぞれ解説します。
2.1 国民年金は保険料納付済月数によって決まる
国民年金は保険料を40年間(480月)納付すると満額を受給でき、2024年度(令和6年度)は81万6000円なので、月額では6万8000円です。
ただしこの金額は保険料を完納した場合であり、未納月があるとその分減額されます。たとえば、5年間(60月)未納期間がある場合で考えてみましょう。
81万6000円×(480月-60月)/480月=約71万4000円
5年未納期間がある場合の受給額は、71万4000円になります。
保険料納付期間中に免除を受けたことがある場合は、免除割合(全額免除・4分の3免除・半額免除・4分の1免除)に応じて年金額が計算されます。
なお、国民年金を受給するためには受給資格期間(保険料納付済期間と保険料免除期間などを合算した期間)が10年以上あることが条件です。
2.2 厚生年金は年数や加入月数などによって決まる
厚生年金は次のAとBを合計した報酬比例部分が受給金額となります。
- A:平均標準報酬月額(※1)×7.125/1000×平成15年3月までの加入月数
- B:平均標準報酬額(※2)×5.481/1000×平成15年4月以降の加入月数
※1平均標準報酬月額とは、平成15年3月以前の加入期間について、各月の標準報酬月額の総額を、平成15年3月以前の加入期間で割って求めた金額
※2平均標準報酬額とは、平成15年4月以降の加入期間について、各月の標準報酬月額と標準賞与額の総額を、平成15年4月以降の加入期間で割って求めた金額
また、条件を満たした場合に「経過的加算」や「加給年金額」も受給できます。
経過的加算とは、特別支給の老齢厚生年金の定額部分を受給していた方が、老齢基礎年金(国民年金)の受給を開始したときに、その差額が厚生年金に加算されるものです。
加給年金は、厚生年金保険の被保険者期間が20年以上ある方が65歳になったとき、生計を維持されている一定の配偶者または子どもがいるときに加算されます。
3. 「ねんきん定期便」で受給額を確認できる
年金額の計算方法をご紹介しましたが、計算するのは苦手という方もいるでしょう。そのような場合は、毎年誕生月に送付される「ねんきん定期便」で受給額の目安を知ることができます。
ねんきん定期便には保険料の納付記録や、現在までの加入実績に応じた年金額が記されています。基本的にはハガキですが、35歳・45歳・59歳には封書で送付されます。
お手元に届いた際には内容を確認し、漏れや誤りがあったときには同封の「年金加入記録回答票」に記入し返信用封筒で返送するか、近くの年金事務所に提出しましょう。
4. まとめにかえて
各年齢における国民年金の受給額は、5万5000円から8000円の間となっており、高齢になるにつれ減少していく傾向にあります。
一方、厚生年金の受給額は14万から16万円の間となっており、高齢になるほど高額になります。
ご自身が受給できる年金額はねんきん定期便に記載されているので、誕生月にお手元に届いた際に確認しましょう。併せて、年金記録に漏れや誤りがないかも忘れずにチェックしてください。
参考資料
- 日本年金機構「国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度」
- 日本年金機構「老齢基礎年金の受給要件・支給開始時期・年金額」
- 日本年金機構「は行 報酬比例部分」
- か行 経過的加算|日本年金機構
- 日本年金機構「加給年金額と振替加算」
- 日本年金機構「「ねんきん定期便」の様式(サンプル)と見方ガイド(令和5年度送付分)」
木内 菜穂子