6. 【想定外の費用 その4】食費(毎月5万円程度)
6.1 施設の食事代以外に、飲み物や差し入れのプリンなどで、予想を大幅に超える出費に
毎月5万円程度かかった食費はもまた、盲点だったと美里さんは語ります。
「父の入所していた施設は1回の食事代は400円でした。しかし、400円×3食×30日は3万6000円です。毎日の飲料水やお茶はペットボトルで用意していたのでこの食事代とは別にかかりました」
食事の量が減ってきてからは少しでも栄養がつくようにと、プリンやヨーグルトなどを毎日のように差し入れていた結果、合計すると食費は毎月5万円程度になり、予想をはるかに上回る金額となったのだと言います。
7. 【想定外の費用 その5】上乗せ介護費用(毎月請求 施設によって金額は変わる)
7.1 手厚い介護を受けていると感じながらも、「上乗せ介護費用」は初耳でした
上乗せ介護費用とは、有料老人ホームなどの施設で請求することを認められた費用です。
介護保険法における職員配置基準では、入居者3名に対し1名の看護職員または介護職員を配置する決まりになっています。
この配置割合を超えて、介護職員などを多く配置する場合には、入居者に「上乗せ介護費用」の負担が求められるのです。
「『父が手厚い介護を受けているのだ』と思うと、施設に対して何も言うことはできませんでしたが、上乗せ介護費用という言葉自体、父が入所して初めて知ったので、この費用はまさに盲点でした」と美里さんは話してくれました。
8. まとめにかえて
今回は、年金暮らしの末期がんの父親を、首都圏にある住宅型有料老人ホームに入所させた経験者から聞いた、「この費用は想定外だった」と感じたものを5つご紹介しました。
もちろん施設や地域によりさまざまな実態があるでしょう。親の老人ホーム入所を考えたときは複数の施設の見学を行い、費用面とサービス面で折り合いのつく施設を選んでいけたら理想的ですね。
今現在、家族の老人ホームを選びに悩むみなさんのヒントになればなれば幸いです。
参考資料
- 厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 厚生労働省「特定施設入居者生活介護事業者が受領する介護保険の給付対象外の介護サービス費用について(平成12年3月30日老企第52号厚生省老人保健福祉局企画課長通知)(抄)」
- 厚生労働省「人員配置基準等(介護人材の確保と介護現場の生産性の向上)」2023年9月8日
吉沢 良子