4. 老後の生活費は夫婦ふたりで平均月26万8508円
最後に老後の生活費を把握しておきましょう。
総務省「家計調査報告 家計収支編 2022年(令和4年)平均結果の概要」によると、65歳以上の夫婦のみの無職世帯の家計収支は下記の通りです。
4.1 65歳以上の夫婦のみの無職世帯(夫婦高齢者無職世帯)の月の家計収支
- 実収入:24万6237円(うち社会保障給付22万418円)
- 消費支出:23万6696円
- 非消費支出:3万1812円
- 収支:▲2万2270円
老後の生活費は、夫婦で月約26万8508円。ここには社会保険料や税金なども入ってきます。
一般的な家計収支をみると、月約2万円の赤字でした。
先ほど確認した、令和6年度の厚生年金のモデル夫婦は月約23万円でしたが、実際には社会保険料や税金が引かれた後の金額で生活することになります。
年金が実質的には目減りになっていることをみても、平均的な家計が赤字になっていることをみても、老後資金対策は大切でしょう。
5. 毎年度変わる年金額例。少子高齢化のいま、老後資金対策を
令和6年度の年金額例が増額となっても、実質的には目減りとなっており、また一般的な家計も赤字でした。
少子高齢化の日本においては、今後年金額が減っていく可能性が考えられます。
物価高で日々の生活も苦しいところではありますが、一方で少額でもよいのでコツコツと老後資金に備えることは大切でしょう。
老後資金対策としては、たとえば国民年金のみであれば厚生年金に加入する働き方にかえる、繰下げ受給を検討するなど「厚生年金を増やす」方法の他にも、「私的年金で備える」「預貯金で備える」「資産運用で備える」などの方法があります。
また現代では働くシニアも多く、「長く働いて収入を得る」ことも老後対策の一つとなるでしょう。
ただ、いずれの方法もメリットもあればデメリットもあるため、「複数の方法で対策すること」がとても大切です。
育児で忙しい世代は難しいですが、子育てが落ち着いてきたら働き方を変えて厚生年金に加入したり、また預貯金だけでなく新NISAを利用して積立投資をはじめたりなど、いくつもの選択肢で備えるといいでしょう。
運用となればリスクもありますが、さまざまな方法で情報収集しやすい時代となりましたので、これを機に老後資金対策を考えてみてください。
参考資料
- 厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 日本年金機構「大切なお知らせ、「ねんきん定期便」をお届けしています」
- 日本年金機構「ねんきんネット」とは?
- 厚生労働省「令和6年度の年金額改定についてお知らせします」
宮野 茉莉子