3. 【年金世代】70歳代世帯の貯蓄「平均と中央値」

次は、70歳代世帯の貯蓄事情について、金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査 令和4年調査結果」から見ていきましょう。

3.1 70歳代世帯・単身世帯の貯蓄額「平均と中央値」

  • 平均:1433万円
  • 中央値:485万円

3.2 70歳代世帯・二人以上世帯の貯蓄額「平均と中央値」

  • 平均:1905万円
  • 中央値:800万円

70歳代世帯の金融資産保有額の平均を見ると、単身世帯は1433万円、二人以上世帯は1905万円です。ただしこれは貯蓄がまったくない世帯からお金持ちまでを含めた平均。

中央値で見ると、単身世帯は485万円、二人以上世帯は800万円にまでダウンします。

4. 65歳以上の約9割が「介護費用は自分の資産から出すつもり」だが……。

介護費用のまかない方に関するシニアの意識とは?

内閣府が公表する「令和4年 高齢者の健康に関する調査結果」では、65歳以上男女の9割が排せつなどの介護が必要となった際、年金や貯蓄など「自分の資産」から介護費用をまかなうつもりだと答えています。

中にはいずれは住まいを売って、終の棲家である老人ホームへの入所費用を作るつもりという人も少なくないでしょう。

要介護は突然やってくることもあります。また、認知症で判断能力が衰えた場合、金融機関の口座が凍結されたり、不動産の売買契約が結べなくなったりする可能性も。

せっかく準備した資金が活用できないとなれば、その後の介護計画や、介護する側の家族の暮らしにも大きな影響が出てきます。家族信託や任意後見などの活用を視野に入れていくのも「転ばぬ先の杖」として、有効であると言えるでしょう。

参考資料

吉沢 良子