2018年2月6日に行われた、株式会社三菱ケミカルホールディングス2018年3月期第3四半期決算説明会の内容を書き起こしでお届けします。IR資料
スピーカー:株式会社三菱ケミカルホールディングス 執行役員 経営管理室長 伊達英文 氏
連結損益計算書
伊達英文氏:三菱ケミカルホールディングスの伊達でございます。いつも大変お世話になっております。それでは早速、決算についてご説明をいたします。
4ページの連結損益計算書です。為替レートにつきましては111円80銭で、対前期4円50銭ほどの円安でございました。
ナフサ単価につきましては、3Qで高騰いたしました関係で、平均で3万9,900円パーキロリットルで、対前期7,600円のナフサ高となっております。
売上収益につきましては、3Q累計で2兆7,622億円となり、3,116億円ほどの増収となっております。この内、為替円安の影響によるものが460億円程度です。それ以外には、売値の市況の高騰ないしはナフサ高を受けての売値への反映といったところで、1,700億円程度の売値による影響がございます。
数量につきましては、約1,000億円でございます。荒い分析ですが、機能商品で400億円、ケミカルで250億円、産業ガスで250億円、ヘルスケアで100億円といったところでございます。
コア営業利益につきましては、3,050億円で(前年同期比で)749億円の増益となりました。こちらについては、後ほどご説明いたします。非経常項目につきましては108億円ということで、対前期で89億円ほど、費用が減っております。こちらについても、後ほど別紙でご説明いたします。
IFRS営業利益につきましては、2,942億円で(前年同期比で)838億円の増益となりました。金融収益・費用につきましては、費用側で65億円となり、13億円ほど費用増になっておりますが、こちら(の要因)は、その2行下の、為替差損益の悪化によるものでございます。
税引前利益につきましては、2,877億円で(前年同期比で)825億円の増益となっております。一方、法人所得税でございますけれども、3Q累計で639億円となっております。3Qは150億円の法人所得税ということで、非常に税負担が下がっております。こちらは、(2017年)12月12日に、アメリカの連邦法人税率の引き下げの法律が通過いたしました。
その関係で、繰延税金負債の取り崩しが税率の変更によって起こり、125億円ほどの益があり、プラスサイドに入っております。一方、前期の上半期でありますけれども、売却損の認容による税効果の益の計上ということで、339億円ほど費用の減少を織り込んでおりました。
このような、前期でも大きな利益、当期でも125億円ほどの利益ということで、対前期という意味では、359億円の費用負担増となっております。
継続事業からの四半期利益が2,238億円。ボトムラインでございます親会社株主に帰属する四半期利益は1,690億円で、対前期30パーセント弱増益となっております。
なお、こちらにつきましては、2007年度に計上した、当時の日本基準の当期純利益が(年間で)1,641億円という数字でしたが、もうすでにそちらを超える数字を、(第3四半期までの)9ヶ月で計上しております。
事業セグメントの内訳別 売上収益及びコア営業利益
続きまして、5ページでございます。売上収益及びコア営業利益の全セグメントです。サブセグメントも示しております。ざっと見ていただいておわかりのように、すべてのサブセグメントで増収となっております。
一方、機能部材、それからヘルスケアについて対前期で減益となっております。こちらについては後ほど、別のページでご説明いたします。
コア営業利益 (全社) 増減要因
6ページにまいります。全社のコア営業利益の増加の749億円について、増減要因を分析しております。
433億円の売買差は、スプレッドの拡大等がございました。
数量につきましては、機能商品で100億円を超える数量増、ケミカルズの定期修繕の規模の縮小の影響、MMAの数量増などもございまして、(ケミカルズで)121億円の増となっております。
また、産業ガスにつきましてはM&Aの効果、ほかエレクトロニクス関係の販売好調といったところがございます。
またヘルスケアにつきましても、今年上梓した新製品(ALS治療薬の)「ラジカヴァ」の数量増ないしは、国内の充填品の数量増がございます。そういったところで、数量増効果が334億円ほどございます。
コスト削減につきましては、期初200億円以上という目標を掲げておりましたが、3Qの進捗としては110億円ということで、ちょっとペースとしては落ちております。
その他差につきましては、ケミカルズの74億円の受払差を含みプラス94億円、一方でヘルスケアの販売費および一般管理費、RD費等の増加が175億円ございまして、そちら等を中心に相殺して、合計で128億円の減益効果となっております。
機能商品セグメントの業績概要
続きまして、機能商品セグメントについてご説明をいたします。機能部材につきましては、売上収益が5,843億円で、対前期310億円の増収となりました。
こちらは、QUADRANT社で行っております高機能エンプラの成型品の販売数量の増加、ないしはアルミナ繊維の販売数量の増加、またOPLフィルムないしはポリエステルフィルムを中心としたディスプレイ向けフィルムの、販売の伸長がございました。
コア営業利益につきましては483億円で、12億円の減益となっております。こちらは、数量の増加がございました。売上収益の増加の説明の通りではございますが、一方で高機能フィルムおよびディスプレイ向けフィルムの原料価格がナフサ高等で上昇しておりまして、総合的には減益となっています。
機能化学につきましては、売上収益が2,680億円で、297億円の増収となりました。コア営業利益は276億円で、38億円の増益となっております。こちらは、フェノール・ ポリカーボネートチェーンの市況が非常に好調でございます。また昨年度は、鹿島の定修があった関係で、数量が減少いたしましたが、今年は鹿島の定修はスキップされる年でございますので、数量の増加もございました。
また、自動車用の電池材料の販売数量も増加しておりまして、売上収益を伸ばしております。
コア営業利益につきましては、先ほど説明しましたフェノール・ポリカーボネートチェーンの好調ないしはその数量増、それから自動車向けの機能性樹脂が数量を伸ばしております。また、自動車用電池材料も数量増となりました。それから、2Qでもご説明した通り、エポキシ樹脂の販売数量の増加がございます。こういったところで、増益となりました。
なお、こちらのコア営業利益の増減要因を、四半期累計で示しております。売買差につきましては、86億円のマイナスでございます。こちらは実は、3Qに発生した売買差で、61億円のマイナスがございます。こちらについて、前Qの決算と見比べて「おや?」というところがあるかと思いまして、ちょっと説明を加えます。
この3Qで発生した売買差の61億円のマイナスの内、半分程度につきましては、先ほど説明していないSBU製品群において、販売構成によっては、平均売値がちょっと下がったところがございます。そういったものは、数量増等もございますし、あと一過性の要因もございます。
一方で、先ほど説明したようなものにつきまして、残りが(61億円のマイナスのうち半分を占める)31億円程度のマイナスがあるということでございます。
こちらは、ナフサ高の影響等もございますが、売値への転嫁という意味では、包装用のフィルムについては、売値のアップに関してすでにアナウンスをしておりますし、できるだけお客さまにご負担いただくように、今後は努力してまいりたいというところです。
また、先ほどOPLフィルムという話を申し上げました。これは通期の業績予想に影響するところでございますが、大垣に作っておりました7系列目、新設の系列1,800万平米(の施設です)。こちらの認定が取れまして、4Qから収益に上梓・貢献してまいります。
ケミカルズセグメントの業績概要
続きまして、ケミカルズセグメントについてご説明をいたします。
MMAにつきましては、売上収益が2,816億円で、733億円の増収です。コア営業利益が814億円で、545億円の増益となりました。みなさまもよくご存じの通り、3Qにつきましても、MMAの価格は四半期平均で2,400ドルを超える市況となっております。一方で、アセトン・メタノール等の市況についても若干、高騰はしておりますが、スプレッド自体としては、拡大しているところであります。
なお、現在の足元の価格でございますが、(2018年)1月が2,440ドル。2月の第1週……先週で、2,470ドルでございました。こちらも通期の業績予想でご説明いたしますが、4Qにつきましては、2,360ドルで見込んでいます。
なお、「欧米ともに在庫が不足しております」と2Qのときに申し上げておりました。アメリカにつきましては、1月に宣言いたしましたフォース・マジュールを(2017年)11月20日に解除しております。ただし、こちらもまだ在庫が十分ではなくて、セールスコントロールは継続中でございます。
ヨーロッパにつきましては、2Qの最後の9月22日に、再度フォース・マジュールの宣言をして、10月31日に解除しております。こちらもまだ在庫が十分ではございませんので、セールスコントロールについては、継続中という状況でございます。
石化につきましては、売上収益が4,000億円、対前期433億円の増収でございました。コア営業利益が230億円で、146億円の増益となりました。
こちらは堅調な市況とともに、エチレンセンターの定期修理の影響という意味では、前期から比べますと縮小しています。前期の定期修繕の後の立ち上げのトラブル、ないしは水島のトラブルがあった関係で、今期については販売数量が伸びております。
コア営業利益につきましても、市況の堅調ないしは定期修理によるトラブルの減少といったところで、増益となりました。
2Qで、ポリプロピレンの鹿島の定修につきまして、「通期での損益影響が50億円程度ある」と申し上げております。3Qにつきましては、そのうち10億円程度のトラブル影響が出てまいりました。1月以降、海外からの調達品等の購入品でお客さまにつなぐところを計画しております。残り40億円程度の収益の悪化について、通期で50億円程度といったところも、現在のところ変わってございません。
炭素につきましては、売上収益が1,878億円で、592億円の増収となりました。コア営業利益につきましても84億円で、64億円の増益となっております。
こちらも、とくに需要が堅調でございまして、コークスでのスプレッドの拡大、ないしはニードルコークスの市況が、非常に桁が変わるほど……1,600ドルから2,000ドルを窺うという水準となっており、価格スプレッド・収益が非常に拡大しました。
なお、トピックスの1点目に、サウジアラビアのMMAのプラントについてコメントをしております。
「現在試運転中」と書いてございますけども、こちらは何度か立ち上げて運転をして、在庫を貯めてまた不具合が出て、そちらの不具合の機器を交換しています。現在は試運転という名前で、基本的にはオンスペックの運転をしております。
「2018年3月の営業運転開始に向け」というのは、お客さまからオーダーが取れるというところをもって営業運転(としており)、そのようなところに向けて、現在試運転でオンスペックの在庫をため上げています。
産業ガスセグメントの業績概要
続きまして、9ページでございます。産業ガスにつきましては、売上収益が4,659億円で、549億円の増収。コア営業利益も439億円で、50億円の増益となりました。
こちらは昨年度、Air Liquide社等から買収、ないしは豪州のSupagas社の買収で、売上収益が200億円強となりました。また、コア営業利益では、約30億円程度の増益効果がございます。
それ以外にも、国内外でもエレクトロニクス関連向けの特殊ガスないしは機器が堅調に推移しております。それ以外にもセパレートガスの販売が堅調で、収益を牽引しております。
ヘルスケアセグメントの業績概要
ヘルスケアセグメントについて、ご説明をいたします。10ページです。売上収益が4,288億円で、139億円ほど増収となりました。こちらは、右側に書いてございます通り、国内医療用医薬品の販売が伸長いたしました。
またアメリカで、昨年(2017年)8月に上梓したALS治療薬のラジカヴァが、12月までに64億円の売上を達成しております。
コア営業利益につきましては722億円で、対前期98億円の減益となりました。こちらは、コア営業利益の増減要因のグラフで、その他差が176億円のマイナスでございますが、こちらのうち販管費で、65億円の対前期増加がございました。
その内、ラジカヴァの事業展開、準備費用ないしはそういった販売費用の増加が主要因であります。
RD費が110億円ほど前期から増えておりまして、175億円ほど固定費の増加がありました。
本日(2018年2月6日)、日経新聞にロイヤリティの減少について説明している記事が載っておりましたが、ロイヤリティの減少自体は昨年度から比べますと、10億円の絶対額の減少でございます。
非経常項目
続きまして11ページ、非経常項目でございます。
当3Qにつきましては、減損損失で50億円ほど費用が発生いたしました。こちらは、田辺三菱製薬のほうで、無形資産で減損がございました。
また、MMAで事業を売却するにあたって、固定資産の減損もございました。こういったものを含めて、50億円の減損がございました。
またその4つ下、訴訟損失引当金繰入額というものがございます。こちらはC型肝炎の関係で、5年ほど提訴期限の延長がございまして、その上で費用の拡大を見込んでございます。
連結キャッシュ・フロー計算書
続きまして12ページ、連結キャッシュ・フロー計算書でございます。
手元資金の運用を除きます実質ベースについて、(資料の)真ん中でご説明いたします。営業活動によるキャッシュフローにつきましては、2,872億円です。内、営業債権債務が増加しておりますが、こちらは(2017年)12月末が休日だった影響が含まれております。そちらで営業債権が増えたのが、491億円の増加でございます。
棚卸資産につきましては、こちらはLucite社で在庫の貯め上げがございました。昨年度、この3月末は非常に在庫が枯渇していたところがございましたので、そのようなところを中心に、在庫の増加がございます。
一方、投資活動によるキャッシュ・フローにつきましては、2,904億円ということでございます。
内、投融資他で1,511億円のマイナスがございますが、こちらは田辺三菱製薬で10月に完全子会社化いたしました、NeuroDerm社への支出が1,197億円、この1,511億円の中に含まれてございます。
連結財政状態計算書
続きまして、連結財政状態計算書です。13ページでございます。
総資産の合計につきましては4兆6,924億円で、2,289億円の増加となりました。内、期末休日の影響が670億円です。また、先ほどキャッシュ・フローでご説明したもののうち、為替影響を除くものが、600億円の増加でございます。
また、為替による影響が、360億円ほどございます。それ以外にも、日経平均の上昇等にともないまして、政策保有株式の増額ないしは年金資産の増加といったところで、総資産の上昇要因がございました。
一方、右下にまいりまして、ネット有利子負債でございます。こちらは1兆2,284億円で、NeuroDerm社の買収を、田辺三菱製薬の手持ち資金から支出したところがございまして、3月末から725億円ほど増えています。
ということで、上にまいりました有利子負債自体は減っているわけですが、ネット有利子負債という意味ではキャッシュの消費が、この12月末には反映されております。
一方、収益が非常に堅調でございましたので、ネットD/Eレシオについては0.96倍で、1-3月末からは0.1ほど改善しております。また、自己資金比率についても27.2パーセントで2.7パーセントの向上を見ました。
業績予想 連結損益計算書
通期業績予想についてご説明いたします。
15ページでございます。売上収益が3兆7,400億円、コア営業利益については3,830億円を見込んでおります。また、非経常項目につきましては、3Qで10月26日には見込んでいなかったもの等も出てまいりましたので、220億円ということで、若干増額しております。
ボトムラインでございます。親会社株主に帰属する当期利益については2,000億円で、この中間期で修正した通期予想を、200億円ほど増額修正しております。
業績予想 事業セグメント別 売上収益及びコア営業利益
事業セグメント別にご説明をしたほうが早いと思いますので、コア営業利益の推移についてご説明いたします。16ページです。
機能部材につきましては、4Qにかけまして若干減益になります。こちらは、ディスプレイ向けフィルムが来週からの春節の影響を受けること、ないしは食品包装向けのフィルムが、お歳暮が終わるといったところで、不需要期になります。
そういった減益要因はございますが、一方で期末に検修工事の関係がございます。アクア・分離ソリューションズ等は期末に検修が集中して増益になるもの、ないしは先ほどご説明いたしましたOPLフィルムについては、7系(の施設)が寄与してまいります。
そういったもので打ち消し合いまして、ほぼ3Q並みといったところで見込んでおります。前回発表した予想よりは、若干減益となっております。
機能化学につきましては、4Qで20億円程度の減益を見ております。こちらは修繕費等の固定費の検修の集中を、4Qに見込んでございます。
MMAにつきましては、3Q・4Qに関しては、先ほど申し上げましたように、3Qの平均が2,423ドル・4Q2,360ドルを見込んでいます。また、アセトンは3Qで820ドル。1月(4Q)が840ドルです。こういったところで、コストを見ております。
また、メタノールにつきましても、3Qで370ドル・1月(4Q)で420ドルで、こちらの上昇についても、織り込んでいるといったところでございます。若干、原料アップによる影響と市況の減少といったところを見込みまして、266億円のコア営業利益を見込んでおります。
石化につきましては、85億円から(4Q予想が)5億円ほどということで、80億円の減益を見込んでおります。こちらは、先ほど申し上げました鹿島のポリプロピレンの停止の影響が、3Qに約10億円ございました。4Qでは、40億円ほどの悪化影響を見込んでおります。こちらで、30億円ほど悪化いたします。
また、中間期に申し上げました通り、PCBにつきまして処理を加速するということで、4Qに25億円ほど発生するものと見込んでおります。
また、それ以外にも、エチレングリコールにつきましては、3Qの市況が905ドルでございましたが、4Qはそちらが836ドル程度になるだろうと見込んでおります。
こちらを見込んだ理由につきましては、15メーカーが春節の関係でメンテナンスに入るということで、こちらとの組み合わせで、両方とも緩むのではなかろうかというところで、市況の悪化等の織り込みをしています。また、固定費の検修の若干の集中というところも見込んでいます。
炭素につきましては、増益を見込んでおります。こちらはニードル・コークスの市況がどんどん上がっておりますので、この(炭素の)増減要因は偏に、ニードル・コークスでございます。
産業ガスにつきましては、こちらは4Qにかけて、稼働日数自体がちょっと減ります。また、数量についても、春節の影響を受けるものが若干ございます。そういった減益要因と、あとは経費の若干の集中といったところを見込んで、4Qは20億円程度の減益を見込んでおります。
ヘルスケアにつきましては、こちらもほぼ季節要因でございまして、4Qについては118億円といったところで見込んでございます。
最後に、操業についてご説明いたします。
国内の石化につきましては、オレフィン、モノマー、それから鹿島のポリプロピレンを除くポリオレフィンについてはフル稼働でございます。鹿島のポリプロピレンについては、(2018年)1月末から稼働を開始しておりまして、順次戦略で復帰してくるといったところでございます。
MMAについては、足元の4Qも実質フル稼働です。フェノール・ポリカーボネートチェーンにつきましても、足元ないし4Qともフル稼働です。炭素繊維につきましては、上半期は80パーセント弱の稼働でございましたが、下半期につきましては85パーセント程度です。これは、4Qも続いていくと見込んでおります。
また、先ほど(お話しした)OPLについて、7系の認定で(2017年)12月後半よりも既に稼働開始しておりまして、出荷が1月から開始するといったところでございます。
以上でございます。