2. 2024年の財政検証のポイント予想

前述の通り、年金の財政検証は、将来の財政見通しを確認することで年金制度を見直すことが目的の1つです。

そのため、2024年の財政検証は、検討中の年金制度改正が検証のポイントとなります。予想される主な内容は次の通りです。

2.1 被用者保険の適用拡大

被用者保険とは、会社員などが加入する厚生年金と健康保険などのことです。

2024年10月から被保険者数51名以上の企業に勤める短時間労働者(週20時間以上勤務)も社会保険加入が義務付けられますが、これに該当しない労働者への社会保険適用が検討されています。

2.2 標準報酬月額の上限引上げ

標準報酬月額とは、会社員が受け取る1か月の報酬を32の等級(健康保険は50等級)に区分した金額のことで、社会保険料や厚生年金保険の受給額の計算基礎となる金額です。

現在、厚生年金については65万円が上限ですが、引き上げが検討されています。

2.3 基礎年金の拠出期間延長

基礎年金の拠出期間とは、国民年金保険料の納付が義務付けられている20歳から60歳までの40年間のことです。

自営業者の年金を増やすことなどを目的に、拠出期間を5年間延長して65歳までとすることが検討されています。

なお、厚生年金の加入は、会社に勤務していれば70歳まで続きます。

2.4 第3号被保険者制度の縮小・見直し

第3号被保険者制度とは、一定要件を満たす第2号被保険者(会社員など)の配偶者は保険料を支払わずに国民年金の第3号被保険者として年金を受給できる制度のことです。

負担なしで給付を受けられる制度であることから、見直しを求める意見もあります。

当面は被用者保険の適用拡大により第3号被保険者の対象者を減らす取り組みが続きますが、制度自体の見直しも検討課題です。