3. 【ミライスピーカー】目的特化の製品である点に注意
実際にミライスピーカー・ステレオをサウンドファンに借りて使用してみました。接続は電源ケーブルをコンセントに、光デジタルケーブルをテレビにつなぐだけと非常に簡単です。音声ケーブルも付属しているので、テレビが光デジタルに対応していない場合はそちらを利用します。
ミライスピーカーから流れる音は、テレビ単体のスピーカーで流している音よりも、バランスがしっかりとれている印象を受けました。あくまで個人の意見になりますが、音声が耳にダイレクトで飛び込んでくるような少し不思議な感覚です。ホームシアターのような製品とは目的が異なるので、包み込まれるような音響になるわけではありませんが、独特の心地よさを感じました。
聞き取りやすさについては、健聴者が聞いてもストレートに「聞き取りやすくなった」とはならないかと思います。すでに聞こえている音に対して「聞こえている」という実感を得るのは難しいためです。「実際に聞こえが低下している人の方が効果が得やすい」ということは認識しておいた方がよいでしょう。
さまざまなモードを備えている昨今のサウンドバーなどと違って、ミライスピーカーは使いやすさを重視し、多彩なモードは搭載しておらず、音量調整のみできる設計になっています。本体インターフェースも正面に音量調整用のダイヤルを備えるのみ。リモコンのボタンも電源と音量調整(+/-)の3つのみです。
もしかすると健聴者の方は物足りなさを感じるかもしれませんが、シンプルさを追求することで「聞き取りやすい音を届ける」という尖った目的を実現しているのがミライスピーカーの価値です。万人に刺さる価値ではありませんが、聞こえに悩む人にとっては非常に喜ばれるのではないでしょうか。
個人的にはテレビの音を変えることなく、誰もが快適な音環境を作ることができるという点にも魅力を感じました。これは一般的なスピーカーではなかなか実現できないことでしょう。聞こえに悩む両親と離れて暮らしている人にはもちろん、一緒に暮らしている人にとってもメリットは大きそうです。
参考資料
大蔵 大輔