1. 【ミライスピーカー】音の聞こえがよくなるメカニズムとは
ミライスピーカーはテレビCMなども展開しているので、見たことや聞いたことがあるという方は増えているようです。ただ「なぜ聞こえやすくなるのか」という具体的なメカニズムまで理解している方は少ないかもしれません。
ミライスピーカーの最大の特徴といえるのが、音を発生させる振動板の形状です。一般的なスピーカーは円錐形になっていますが、ミライスピーカーは湾曲した独特の形状になっています。
曲面にすることで変わるのは「音波」です。従来のスピーカーより高音域で広範囲にしっかりと音を届ける音場が作られ、それが聞き取りやすさにつながります。同社はこの「曲面サウンド」で特許も取得しています。
メカニズムとしては実にシンプル。それゆえ、振動板を曲面にするだけで本当に音が変わるのかという疑問を持たれるかもしれません。筆者もその一人だったのですが、サウンドファンに取材した際に提供されたデモキットを使って「なるほど」と納得することができました。
デモキットの中身は下敷きとオルゴール。デモでは下敷きの端にオルゴールを当てて音を鳴らします。下敷きをまっすぐにした状態では、オルゴールの音量は単体で鳴らしたときと変わりません。しかし、下敷きをぐにゃっと湾曲させていくと、一気に音量が増幅されます。
下敷きは一般的なプラスチック素材で特殊な素材は使われていません。ミライスピーカーは単純な物理法則をうまく活用し、聞き取りやすい音を生み出しているわけです。
知ってしまえば簡単なメカニズムですが、スピーカーとして求められる良い音を出すためには曲がり具合に絶妙な調整が求められます。実際にオルゴールと下敷きのデモでも曲げすぎると音がひび割れてしまいました。ミライスピーカーの凄さはまさにこのバランスを試行錯誤の繰り返しで最適化し、良い音を聞こえやすくしている点にあります。