2018年1月31日に行われた、川崎重工業株式会社2018年3月期第3四半期決算説明会の内容を書き起こしでお伝えします。IR資料

スピーカー:川崎重工業株式会社 代表取締役副社長 富田健司 氏

2017年度第3四半期決算説明会

富田健司氏:みなさん、こんにちは。富田です。本日はご参加いただきまして、ありがとうございます。ただ今より、第3四半期の決算実績についてご説明をいたします。

第3四半期決算実績 サマリー

th_khin180131_1-003

お手元の資料3ページをお開きください。決算実績のサマリーをご説明します。まず受注でございますが、受注は比較的好調と言っていいかと思います。ここにありますように、前年同期比で約1,200億円の増加となりました。

売上におきましてもプラント・環境の減収等があるものの、精密機械やガスタービン・機械等での増収によりまして、全体では増収となりました。

営業利益は航空宇宙での減益がありましたが、前年同期に船舶海洋で多額の損失処理をしておりまして、全体としては前年同期の水準が低かったこと、また精密機械およびガスタービン・機械の増収等もありまして、約220億円の増益となりました。

経常利益についても、営業利益の増益の流れを受けて好転をしております。しかしながら、親会社株主に帰属する純利益につきましては、昨年12月にご報告した、船舶海洋事業での特別損失の計上等により、約30億円の減益となりました。

なお、ページ下部に、売上加重平均レートと影響外貨量を示しております。ドルにつきましては111円31銭で、前年同期比4円強の円安となっております。

第3四半期決算実績 セグメント別

th_khin180131_1-004

4ページには、セグメント別の受注高、売上高、営業利益が並んでおります。詳しい説明は、セグメント別のページで行わせていただきます。

前年同期比損益増減要因分析

th_khin180131_1-005

5ページは、前年同期比の損益増減要因分析となっております。営業利益ですが、前年同期の228億円から今回446億円へ、217億円の増益となりました。

増益の内訳をご説明いたします。まず、前年同期は船舶海洋のオフショア船関係の損失を営業費用として処理いたしましたけども、今年度はそれがないということで、まずプラスの93億円になります。

一方で、航空宇宙の収益性低下の影響がマイナスの61億円ありました。これは、ボーイング787のプログラム想定当初から予定しておりました価格改定や、いわゆるマイルストーン的な入金がなかったことなどを受けた、一時的な要因でございます。

次に、為替の影響ですけども、前年同期比で円安に振れていることから、109億円のプラスと見ております。次に、売上変動でございますが、売上変動は精密機械、あるいはガスタービン・機械の増収がございまして、これによる影響がプラスの89億円でございます。

次に、売上構成変動でございますが、プラント・環境で前年同期に比べましたら低採算案件が減少したこと、それからジェットエンジンの採算が当第3四半期では改善をしておりまして、プラスの48億円でございます。

最後に販管費ですが、海外子会社の販売活動強化による販売費の増加、あるいは外貨建ての販管費、主に海外子会社でございますが、これが円安で膨らんだ影響などによりまして、マイナスの61億円の影響となりました。

全体としましては、船舶海洋の改善を航空宇宙の収益性低下で相殺しましたが、精密機械の好調、あるいはガスタービン・機械、それから為替。これによって増益を達成したというイメージになるかと思います。

前年同期比損益計算書の概要

th_khin180131_1-006

次に、前年同期の損益計算書の概要をご説明いたします。まず、営業利益です。営業利益の増加理由は、今ご説明したとおりでございます。

販管費が前年同期比で10億円増加となっておりますが、前年同期に計上しましたブラジル向けの貸倒引当金51億円がなくなった上での10億円の増加でありますので、実質は61億円の増加ということで、先ほどの階段グラフで説明をしております。主に販売活動強化に伴う費用が中心となります。

次に、営業外損益でございますが、持分法利益が減少したことに加えまして、今回民間航空エンジンの契約調整負担費、マイナスの25億円。ならびに、その他の項目におきまして、前年同期に海外子会社の固定資産売却益があった影響等によりまして、前年同期比で47億円の悪化になっております。

次に、特別損益でございますが、前年同期に国内の固定資産売却に伴う特別利益が22億円あったことに加えまして、今回船舶海洋のオフショア事業に関連しまして、特別損失128億円を今回決算で計上しましたことによりまして、合計で150億円の悪化ということになりました。

船舶海洋

th_khin180131_1-007

次に、セグメントごとの状況についてご説明をいたします。船舶海洋からでございます。

まず3Qの実績でございますが、受注・売上の前年同期比は記載のとおりでございます。とくに受注は、オフショア作業船の受注約300億円がありましたけども、これを今回取り消したことによりまして、マイナスの実績となっております。

次に、営業利益ですが、階段グラフで説明しましたとおり、前年同期はオフショア船事業の損失処理が約93億円ありましたが、今期はそれがないことを主因に好転をしております。

次に、通期見通しでございます。受注額については、先ほどのノルウェー向けのオフショア作業船の契約解除に伴いまして、通期見通しを引き下げております。

売上・利益につきましては、前回10月に公表しました時点より大きな変動はありません。したがって、数字を据え置いております。

車両

th_khin180131_1-008

次のページにまいります。車両でございます。3Qの実績としましては、受注・売上の前年同期比は記載しておりますとおりです。営業利益は、国内案件を中心とした増収によりまして、7億円の増益となりました。

次に、通期見通しです。ニューヨーク向けに大型の地下鉄車両案件を受注したということがありまして、今回大幅に受注見通しを引き上げております。売上に関しましては、今回小口、それからアフター(サービス)の受注期のズレがありまして、50億円の減少と見通しております。

営業利益も、主に小口アフター(サービス)の減収に伴いまして、減益の見通しを持っております。これが車両でございます。

航空宇宙

th_khin180131_1-009

次のページにまいります。航空宇宙をご説明します。航空宇宙の3Qの実績からまいりますと、受注・売上の前年同期比は、記載をしているとおりでございます。営業利益ですが、ボーイング787の価格改定、それからトリプルセブンの売上数の機数の減、これに加えまして、いわゆるマイルストーン的な入金もなかったことなどによりまして、前年同期比で言いますと53億円の減益となりました。

通期見通しでございますが、売上・利益については前回10月に公表した時点から大きな変動はありません。数字を据え置いております。

ガスタービン・機械

th_khin180131_1-010

次に、10ページのガスタービン・機械にまいります。3Q実績としましては、受注はガスエンジンの大口案件がありました前期に比べまして、減少となりました。売上の前年同期比は、記載のとおりでございます。営業利益ですが、まず増収があったこと、それからジェットエンジンの収益性の向上により増益となりました。

通期見通しでございますが、年度におきましても新型エンジンを中心とした増収が見込まれることから、売上および利益についてそれぞれ100億円、それから20億円見通しを引き上げております。

プラント・環境

th_khin180131_1-011

次に、11ページのプラント・環境にまいります。まず、3Qの実績です。受注・売上の前年同期比は記載のとおりでございます。売上の減少要因として挙げられています化学プラントはトルクメニスタン向けのガス・ツー・ガソリンプラントのことでありますが、工事量の減少は前期がピークだったことによるものでございます。工事自体は順調に推移しておりまして、とくに問題は発生しておりません。

それから、3Qの営業損益は、表示上は、ちなみにゼロを億円としておりますけども、これは減収の影響を受けまして若干の赤字となります。

次に、通期見通しを説明します。まず、受注につきましては概ね想定線でありますが、海外向けのプラント工事量の減少等の影響で、売上の見通しを引き下げました。営業利益につきましても、減収による減益等によりまして5億円引き下げております。

プラント・環境、最後に海外LLGプラントの状況でございます。昨年11月にもご報告しましたように、工事は順調に進んでおります。転注費用が当初見積もりから増加しておりますが、増加分も含めまして、転注に伴い生じた損害につきましては、契約違反をしたもとの会社に補償を求める方針であります。

モーターサイクル&エンジン

th_khin180131_1-012

次、12ページにまいります。モーターサイクル&エンジンをご説明します。まず、3Qの実績ですが、売上の前年同期比は記載のとおりでございます。それから営業利益ですが、増収、円安によりまして、前年同期比で言いますとプラスの52億円の32億円で終えました。

次に、通期見通しでございますが、売上・利益とも全体として想定線で推移をしておりまして、据え置いております。この事業はご承知のとおり、第4四半期に利益が集中する構造となっておりますので、この通期見通し140億円の営業利益の達成は十分可能だと考えております。

精密機械

th_khin180131_1-013

13ページの精密機械をご説明いたします。精密機械は、油圧機とロボットが含まれておりますが、トータルで申し上げますと、3Q実績、受注、売上、それから営業利益の前年同期比は記載のとおりでございまして、それぞれが前年同期からかなり大きく増えているということでございます。

それから通期見通しですが、売上・利益とも全体としましては想定線で推移をしているかなと思っておりまして、数値は据え置いております。

貸借対照表の概要

th_khin180131_1-014

次に、14ページで貸借対照表の概要をご説明いたします。貸借対照表は、前期末、去年の3月末に比べまして、売掛金や棚卸資産が増加をしまして、前受金が減少したことによりまして、借入債務は6,782億円と、前期末比2,775億円増加しましたが、1Qから3Qに向けて増加するのは例年の傾向でございまして、前年の3Q末は6,234億円と好調な今回の受注状況を勘案すると、実質大きな差はないのかなという見方をしております。

さらに、NetD/Eレシオも前年3Q末の138パーセントと同水準であることから、問題のないレベルかなと見ております。

キャッシュ・フローの概要

th_khin180131_1-015

次に、15ページでキャッシュ・フローの概要をご説明いたします。まず、営業キャッシュ・フローですが、運転資本の増加などによりまして、前年同期比で594億円悪化をしております。

投資キャッシュ・フローも、今回設備投資の支払いが集中したこと、あるいは前年同期は固定資産の売却収入があったことによりまして、前年同期比でマイナスの196億円となりました。この結果、フリー・キャッシュ・フローは前年同期比でマイナス791億円となっております。

主なキャッシュ・フローの悪化要因は、前年同期比ベースで何があるかを主な要素を挙げてみますと、プラントでは、1つは主に海外案件での悪化が見られます。それから、全社的に売上が増加をしております。これによって、売掛金の増加に伴う悪化が見られる特徴かと思います。

それから、主な投資キャッシュ・フローの悪化要因。これも前年同期と比べた結果ですが、航空宇宙におきまして、今期大口の設備資金の支払いが集中したということ。それから、前年は本社において東京事務所の売却といった、固定資産の売却収入があったということ。

2017年度のフリー・キャッシュ・フローですが、新型航空エンジンの増産などによりまして、運転資本の増加。あるいは、航空宇宙の設備投資の支払い増加などがありまして、トータル2017年度は厳しい状況が続くかなとは思っておりますが、引き続き改善に向けた努力を全力で行います。

連結受注高・売上高・利益見通し

th_khin180131_1-016

16ページで、これから連結の受注・売上・利益の見通しについてお話をしたいと思います。

通期見通しにつきましては、セグメント別にすでにご説明したとおりですが、車両、それからプラントについて引き下げたものの、一方で、ガスタービン・機械セグメントで増収増益が見込まれるということから、全体としては大きな変更はなく、営業利益620億円、経常利益555億円ということで、従来計画のまま据え置きました。

一方、税金ですが、米国税制改革におけます繰延税金資産の減少が、税金の費用増という結果になりまして、親会社株主に帰属する当期純利益、税前ROIC、ROEについては、それぞれ見通しを引き下げております。それから、配当は従来どおりでございますが、10月1日の株式併合に伴いまして、年間60円としております。

セグメント別通期業績見通し

th_khin180131_1-017

次のページ、17ページにセグメント別の2016年度の実績、2017年度見通しを一覧にしておりますので、ご参考ください。

セグメント別税前ROIC等の推移

th_khin180131_1-018

それから、18ページ。セグメント別の税前ROIC等の推移。これも同様でございます。

研究開発費・設備投資・期末従業員数

th_khin180131_1-019

それから19ページになりますが、これも研究開発、設備投資、期末従業員数はいつも見通しを出しておりますけども、これに関しても見通しに変更はございません。

以上で、説明を終わらせていただきます。ありがとうございました。

記事提供: