年収差はなぜ生まれるのでしょうか。

また、同じ兄弟でも年収格差が存在します。

兄が年収1000万円、一方弟が年収600万円。

親が同じように教育したと思っても、歳を重ねるにしたがって、その年収格差が大きくなっていくこともあります。

今回は、40歳代になって振り返ってみて、年収600万円の弟のTさんに、年収1000万円の兄と比較して、なぜ兄との年収格差が広がったのかについて、話を聞いてみました。

1. 年収1000万円と年収600万円の違いが生まれたのはお金への執着心

年収で差が出るのは、「仕事ができる人」か、「仕事のできない人」かの違いだという人もいるでしょう。

仕事の内容や責任の違いなどによっても、当然年収が異なりますが、Tさんは必ずしもそうした理由だけではないと考えています。最大の違いはお金へ執着心の違いだといいます。

2. 年収1000万円の兄はお金への執着心がほとんどなかった

「兄は小さい時から本当にお金へのこだわりがなかったです。お年玉ももらったらすぐに使い切ってしまうタイプでした。貯金とかもいつもほとんどなかったと思います」

「一方、私はお年玉もいったんは全部貯金をして、何を買うのかじっくり決めるタイプでした。貯金はいつもありましたね」

では、なぜそんな兄弟で年収差が拡大したのでしょうか。

3. お金に執着しないことが年収1000万円の兄の専門性とネットワークを作った

「兄は、お金に執着しないので、何でもチャレンジしていました。本も好きなだけ買ったり、趣味だったラジコンも大人が買いそうな高価なものを買っていました。兄は趣味にはお金を惜しんでいませんでしたね。いまとなっては、そうした行動が兄の仕事の専門性の基盤となっているような気がします。仕事のジャンルは全く違いますけどね(笑)」

「また、兄は友達と遊びに行くときもお金を使っていたので、ネットワークは今聞いてもすごいです。仕事の話も友達同士の会話で進んだりすることもあるので、ネットワークって使えるもの本当にあるんだなと思います。結果、年収も高くなるわけです」

4. 貯金がない兄を家族が心配して多めにお年玉がもらえる構造に

「兄は貯金がいつもないので、祖父母はいつも心配して、兄にはお年玉を多めに渡すわけですよ」

「一方、私はというと、貯金がいつもあるので、お年玉は少なめなんです。貯金あるからいいでしょって。これでもらえる額が違うのが子供ながらにおかしいなって思っていました」

お年玉格差もあったわけですね。

「はい、そうです。兄はお年玉のストックはないけれど、お年玉のフローは私よりも多かったです。そうして、また兄は新しいチャレンジをしていくという好循環が生まれるわけです」

5. お金に執着するとない時のストレスが大きくなり、一気に使ってしまう罠

「兄は、お金に執着しないので、お金がなくてもストレスがないんです。なので、ストレス解消に一気に高価なものを買うという行動がないんです。お金がなければないで、使わないだけで、ストレスはたまらないのです。年収が増えても、使いたいものがなければ使わないので、兄はお金がたまっていきましたね」

「一方、私は兄よりお金に執着しているので、お金がないとストレスを感じ、時折押し寄せる不安でお金を使ってしまいます。せっかくためたお金を使ってしまうのです」

青山 諭志