2. 老齢年金、何歳から受け取るのがお得?受け取り額をシミュレーション

老齢年金を65歳から受け取る場合と繰上げ、繰下げをする場合を比べて、何歳から受け取るのがお得かを比較してみましょう。

以下の表は65歳受給開始の場合の年金額を15万円とした場合の、受給開始年齢ごとの年金受給額の累計の推移です(昭和37年4月2日以降生まれの場合)。

計算結果をもとに筆者作成

上記の表から、繰上げと繰下げ受給の65歳受給開始と比較した損益分岐点は、以下のようになります。

  • 60歳受給開始の受給額を65歳受給開始が上回るのは、80歳
  • 65歳受給開始の受給額を70歳受給開始が上回るのは、81歳
  • 65歳受給開始の受給額を75歳受給開始が上回るのは、86歳

繰下げ受給は、受給開始から12年後に65歳受給開始を上回ることがわかります。

また、2022年の平均寿命、男性81.05歳、女性87.09歳から、81歳と87歳時に最も受給額の累計が多くなる受給開始年齢は、以下のとおりです。

  • 81歳時に最も受給額の累計が多くなる受給開始年齢は、68歳
  • 87歳時に最も受給額の累計が多くなる受給開始年齢は、71歳

2.1 老齢年金を何歳から受け取るのがベストか?

受給開始年齢を遅らせるほど毎月の年金額は多くなりますが、早く亡くなると結果的に損をしてしまいます。必ずしも75歳からの受給が有利なわけでもないでしょう。

何歳で亡くなるかはわからないため、平均寿命まで生きると仮定すると、男性は68歳、女性は71歳から年金を受け取り始めると有利と考えられます。

一方、60歳から繰上げ受給するケースも、79歳までは65歳から受け取るケースより多く受け取れます。毎月の受給額が少ない点を考慮する必要はありますが、繰上げ受給が圧倒的に不利ということもないのではないでしょうか。

受給開始年齢の正解は人それぞれです。健康状態、何歳まで働くか、家族状況などをトータルで考えて、何歳から受け取るかを決めるとよいでしょう。