2024年1月にスタートする「新しいNISA」、通称「新NISA」。
新NISAは、大きく5つのポイントがあります。
- 非課税保有期間の無期限化
- 口座開設期間の恒久化
- つみたて投資枠と成長投資枠の併用可
- 年間投資枠が最大360万円(つみたて投資枠で年間120万円、成長投資枠で年間240万円)
- 非課税保有限度額が全体で1800万円
このように、これまでの一般NISAやつみたてNISAと異なり、多くの個人投資家にとっては使い勝手がよくなったといえるでしょう。
つみたてNISAからの移行層が成長投資枠をどう使うか
さて、最近よく話題になるのが、これまでつみたてNISAをしてきた「つみたて投資家層」が新NISAの「成長投資枠」をどう活用するかという点です。
成長投資枠の使い方が議論となるのは、つみたて投資枠で投資対象の商品となっている長期の積み立て・分散投資に適した投資信託だけではなく、上場株式などにも投資対象の幅が広がるからです。
これまで金融庁に与えられてきたつみたてNISA用のラインナップの枠内だけで投資先を検討すればよかった状況からすると、「投資検討の自由度は広がったが、悩むポイントが増えた」という方もいるのではないでしょうか。
新NISAの成長投資枠タイプ別3つの使い方
それでは、ここではつみたてNISAでつみたて投資をしてきた個人投資家層が成長枠投資をどのように使かえばよいのかについて、投資家の考え方のタイプ別に考えていきたいと思います。
【その1】つみたて投資枠と同様にインデックスファンドを積み増し購入
「月の投資枠が増えたからといって、銘柄選択をするのは面倒だ」
という方には、つみたて投資枠で購入しているインデックスファンドなどをさらに積み増して購入するという成長投資枠の使い方が無難そう。
つみたてNISAでつみたて投資に慣れた層が一番選択しやすいのがこのパターンかと思います。
これから資産形成をさらに加速させていきたいという方が選択すべきはこのタイプ。
【その2】高配当株式ETFや配当利回り高い個別株式
「定期的に配当金が欲しい」
「キャピタルゲイン狙いだけだと株価下落が長期で続いた際、メリットを自分のタイミングで享受できるか不安」
というような方には、成長投資枠で配当をしっかり手に入れる投資スタイルがしっくりきそう。
もっとも、景気が減速すればETFや株価水準も下がり、企業業績にともない配当も減ることが多いです。
したがって、配当が継続的に分配されるものの、その配当水準も変動的であるという側面は理解しておく必要はあります。
【その3】日本や米国の成長株投資
「株式投資の醍醐味は10倍株(テンバガー)への厳選投資だ」
という方には、個別株投資しかもはや眼中にないかもしれません。
とはいえ、個別株投資は最初から分散投資がされている投資信託やETFと違って、価格変動のボラティリティが大きいということは理解しておく必要があります。
また、成長株は往々にして配当がまったくないか、あっても配当利回りは低いので、配当に興味がある人には向いていないといえるでしょう。
既に資産をある程度持っている投資家か、リスクを取ってでも手元資金を大きく増やす可能性を持っておきたいという方が向いています。
まとめにかえて
新NISAの成長投資枠は資産運用にどう向き合うかで人それぞれの選択が出てきそうです。
今回ご紹介した3つのパターンのどれが正解というのではなく、それぞれがどういった狙いで成長投資枠を活用するのかがポイントとなりそうです。
つみたてNISAでは、「どのインデックスファンドが一番良いのか」という議論が盛んでしたが、今後は成長投資枠の選択肢を議論する展開が生まれてきそうです。
参考資料
LIMO編集部