2019年を皮切りに話題となった「老後2000万円問題」。筆者は日々FPとしてご相談を受けているのですが、「実際これでは足りないですよね?」というお声をよく耳にします。

この2000万円という金額は、あくまでモデルケースでの試算結果であり、誰にでも当てはまる訳ではありません。

しかし、老後に向けて準備を進めていく上で「2000万円」を意識している方は少なくないでしょう。

今回は現在の70歳代にフォーカスして「貯蓄額」・「老齢年金の受給額」・「生活費」よりセカンドライフの現状を眺めていきましよう。

70歳代以上で「貯蓄2000万円超」の世帯は何パーセントいる?

現在の70歳代以上のシニアは、いくらぐらい貯蓄できているのでしょうか。

総務省統計局「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2022年(令和4年)詳細結果-(二人以上の世帯)」より70歳代以上の貯蓄額を見ていきましょう。

70歳代以上の平均貯蓄額:2411万円

70歳代以上の平均貯蓄額は2411万円です。

ただし、貯蓄額は世帯差が大きく実態を把握しづらいため、現在貯蓄高ごとの世帯数より現状を確認していきましょう。

◆70歳代以上の現在貯蓄高分布:計187万4554世帯◆

  • 100万円未満:14万896世帯(7.94%)
  • 100万円~:6万4999世帯(3.47%)
  • 200万円~:6万426世帯(3.22%)
  • 300万円~:6万9205世帯(3.69%)
  • 400万円~:6万2104世帯(3.31%)
  • 500万円~:7万670世帯(3.77%)
  • 600万円~:5万2589世帯(2.81%)
  • 700万円~:4万9056世帯(2.62%)
  • 800万円~:6万433世帯(3.22%)
  • 900万円~:4万6408世帯(2.48%)
  • 1000万円~:10万9329世帯(5.83%)
  • 1200万円~:8万5755世帯(4.57%)
  • 1400万円~:6万9842世帯(3.73%)
  • 1600万円~:8万2145世帯(4.38%)
  • 1800万円~:5万9305世帯(3.16%)
  • 2000万円~:15万265世帯(8.02%)
  • 2500万円~:12万1065世帯(6.46%)
  • 3000万円~:17万7308世帯(9.46%)
  • 4000万円~:33万4754世帯(17.86%)

70歳代以上では貯蓄額4000万円以上の世帯が17.86%と最も多いことが見てとれます。

次に多いのが、「貯蓄100万円未満」の世帯。70歳代以上世帯のうち約8%を占めています。

また、「貯蓄額2000万円」以上を保有する世帯は41.8%。

70歳代以上の約4割が老後2000万円問題をクリアしていることになります。

この貯蓄額を維持するか、はたまた取り崩していくのか。老後の主な収入源となるであろう公的年金の年金額次第で、貯蓄額への印象が変わるでしょう。