2.2 厚生年金の受給額シミュレーション

計算式で老齢厚生年金の受給額の格差について説明しましたが、次にモデルケースを用いて受給額をシミュレーションします。

受給額の格差について、具体的にイメージできるでしょう。

  • モデル1:平均標準報酬額40万円、厚生年金の加入月数480カ月
  • モデル2:平均標準報酬額40万円、厚生年金の加入月数240カ月
  • モデル3:平均標準報酬額20万円、厚生年金の加入月数480カ月
  • モデル4:平均標準報酬額20万円、厚生年金の加入月数240カ月

各ケースについて老齢厚生年金の受給額を計算すると次の通りです。

  • モデル1:約105万円
  • モデル2:約52万円
  • モデル3:約52万円
  • モデル4:約26万円

老齢基礎年金の受給額を約80万円として合計すると、モデル1のケースでは受給額の合計は約185万円(月額約15万円)、モデル4では約106万円(月額約9万円)です。

まじめに年金保険料を納めていても、厚生年金の加入期間が短いと年金額は少なくなります。

3. 厚生年金から天引きされるお金

Alena Piatrova/shutterstock.com

年金額の計算方法を説明しましたが、実際に口座に振り込まれるのは、受給額から税金(所得税、住民税)や社会保険料(国民健康保険料または後期高齢者医療保険料、介護保険料)が天引きされた後の金額です。

所得税が天引きされるのは、年金所得のある人です。

年金所得は、年金収入から基礎控除(48万円)や公的年金等控除(65歳未満は60万円、65歳以上は110万円)、配偶者控除・扶養控除、社会保険料控除などを差し引いて計算します。

国民健康保険料や介護保険料が天引きされるのは、65歳以上で一定以上の受給額がある人です。

会社員で給与から健康保険料が天引きされている場合、国民健康保険料は年金から天引きされることはありません。

4. 年金受給額は人それぞれ

厚生年金の平均受給額(受給権者の平均値)は14万3965円ですが、受給額は人によって大きく異なります。

受給額の格差が生じる主な要因は、老齢厚生年金の計算方法によるものです。

老齢厚生年金の受給額は平均標準報酬額と厚生年金加入月数に比例するため、年収や厚生年金の加入期間によって受給額に大きな差が生まれます。

本記事を参考に年金額の計算方法を理解し、老後の収支計画を立てたり、これからの働き方を検討しましょう。

参考資料

西岡 秀泰