2. 厚生年金の受給額がピンキリになる理由

老齢厚生年金の受給額は男女差が大きいだけでなく、一人ひとりの受給額も2倍以上異なるケースがあります。

受給額がピンキリになる理由を年金額の計算方法で解説し、具体例を用いて確認します。

2.1 厚生年金の受給額の計算方法

老齢厚生年金受給者が受け取る年金は、老齢基礎年金と老齢厚生年金の2つです。

老齢基礎年金の受給額は、次の通り計算します。

  • 老齢基礎年金の受給額=79万5000円(※)✕保険料納付済月数/480カ月

※2023年度の金額。毎年更改。

保険料納付済月数は、20歳から60歳までに国民年金や厚生年金、共済年金に加入して保険料を収めた月数です。

20歳から60歳までの480カ月(40年間)保険料をすべて納付すると、老齢基礎年金の受給額は年間79万5000円(月額6万6250円)になります。

次に、老齢厚生年金の計算方法を見ていきましょう。

加算を除くと老齢厚生年金の受給額は次の通り計算します。

2003年4月以降に初めて厚生年金に加入したものとします。

  • 老齢厚生年金の受給額=平均標準報酬額(※)✕5.481/1000✕厚生年金の加入月数

※平均標準報酬額は、厚生年金加入中の標準報酬月額と標準賞与額の総額を厚生年金加入月数で割った金額です。標準報酬月額は保険料や年金額の計算基礎となる金額で、毎年4~6月の報酬を基に計算し原則9月から翌年8月まで適用されます。

計算式より、老齢厚生年金の受給額は、平均標準報酬額と厚生年金加入月数に比例することがわかります。

平均標準報酬額が同じ場合、厚生年金に1年しか加入していない人と40年間加入した人を比較すると、40年間加入した人の受給額は1年しか加入していない人の40倍になります。

年収(正確には標準報酬月額と標準賞与額)によっても老齢厚生年金の受給額は大きく異なりますが、加入月数によってはより大きな格差が生じることもあります。