3. 繰下げ受給のデメリット3選とは

繰下げ受給のデメリットはいくつかありますが、中でも以下の3つには注意しましょう。

3.1 長生きしないと損をする

せっかく増額しても、もらう年月が少なければ結果的に総額は少なくなります。繰下げ受給を検討しても、「早く亡くなってしまうと総額で損をするかも」という点を懸念される方はとても多いです。

単純計算で、一般的には繰下げ受給を開始してから約12年生きていないと損をしてしまうことになります。

もし75歳で受給開始するなら、87歳までは元気に暮らしたいところです。

また、人生を楽しめる間にお金を使いたいという考え方もあります。せっかく年金を受給し始めても、旅行や趣味を楽しむ気力が無ければ意味がない、と考える方もいます。

3.2 税金や社会保険料、医療費の自己負担額などが上がる

年金の受給額が増えると、所得が増えることにより税金や社会保険料の負担が高まります。

これらは基本的に年金天引きで納めるため、手取り額は思ったより増えないこともあります。

また、医療費や介護費の自己負担額も3割に上がってしまう可能性があります。

3.3 加給年金が受け取れない可能性がある

加給年金とは、厚生年金に20年以上継続加入かつ65歳未満の配偶者または18歳未満の子供がいる場合に、受け取ることができる年金です。

これらは、繰下げ受給してしまうと受け取れなくなります。

「国民年金のみ繰下げる」「妻の年金だけ繰り下げる」などの対策について、一度年金事務所等で相談してみてもいいでしょう。

年金額が増えるというメリットは大きいですが、これらのデメリットと天秤にかけ、しっかり検討しておきたいですね。

4. 老後の備えを考える

年金繰り下げについてみてきましたが、年金を繰り下げる人は現状は少ないことがわかりました。

一般的には単純計算で、受け取り始めてから約12年以上生きられればメリットがあります。

判断が難しいところですが、今後「人生100年時代」に備える選択肢の一つとして、活用される方は増えるかもしれませんね。

しかし、繰り下げ受給するにはそもそも老後のたくわえがなければいけません。

年金開始時期には引退して老後の時間を楽しみたいと思うならば、そのための準備が必要でしょう。

その例としては「つみたてNISA」や「iDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)」などがあげられます。

資産運用は、運用期間を長くとればとるほど、リスクが軽減し、リターンが安定する傾向があります。若いうちにスタートすることで、複利のメリットを最大限に活かし、効率よくお金を育てていくことも可能です。

しかし、それらの制度も今の年齢や、現在の金融資産によって、最適な金融商品や運用スタイルは人それぞれ異なります。


まずは自分に合った貯蓄方法を探してみましょう。