サッポロホールディングスは2023年12月期Q3決算発表時に増収効果などを背景に通期見通しを上方修正
【企業調査月報】2023年11月版
Tithi Luadthong/shutterstock.com
サッポロホールディングス(2501)に関して最近のニュース、業績予想、財務諸表、ROEなどについて振り返ります。
国内の上場企業数は2023年10月末時点では、3914社あります。企業調査月報シリーズでは、株式市場で注目される企業をピックアップしてお伝えします。
レポートにおいては、月ごとに注目すべきポイントに関するコメントや更新があった項目についてアップデートをしていきます。
ニュースコメント
サッポロホールディングスは2023年11月10日に2023年12月期第3四半期の決算を発表しています。決算発表と同時に、通期の売上収益、事業利益、営業利益、当期利益を上方修正しています。
利益の上方修正の背景は、国内酒類の増収効果、コストマネジメント、外食の増収効果、国内食品飲料の構造改革やコストマネジメントが貢献しています。
株価については過去1年を振り返ると、2023年の年始をボトムに右肩上がりで上昇基調となり、原材料高の中、増収を実現し利益を積み重ねることが評価されています。
一方で、ROEの水準などは株主資本コストを下回っているとみられるため、更なる改善策などが期待されます。
会社概要
国内ビール大手。不動産事業も収益を支える。
事業セグメントは、酒類、食品飲料、不動産に分かれている。
2022年12月期のセグメントごとの売上高は以下の通り。
- 酒類:3346億円
- 食品飲料:1229億円
- 不動産:207億円
2022年12月期のセグメントごとの営業利益は以下の通り。
- 酒類:89億円
- 食品飲料:18億円
- 不動産:54億円
過去1年の株価動向
株価について、2023年10月末から過去1年をさかのぼって振り返ります。
2022年11月は3500円を超える展開となっていたものの、2023年に入り、株価は下落。一時は3000円付近にまで下落。
その後は5月にかけて堅調に推移し、4000円をつけるも、その後は再び下落。
しかし、7月以降は再び上昇傾向となり、10月には5000円を突破。
最新の会社による連結業績予想
2023年12月期に関する会社による最新の通期連結業績予想は以下の通りです。
- 売上高(売上収益):5100億円
- 営業利益:120億円
- 当期純利益(親会社の所有者に帰属する当期利益):70億円
- 一株当たり当期純利益:89円86銭
- 一株当たり配当金:45円
直近の財務諸表
2023年9月30日時点の財務諸表の項目数値は以下の通りです。
- 資産合計(総資産):657,237百万円
- 自己資本:180,109百万円
- 自己資本比率:27.4%
ROEとROA
前年度実績の自己資本をもとにしたROEとROAは以下の通りです。
実績ROE
実績ROA
発行済株式数
2023年9月30日時点での、発行済み株式数、自己株式数は以下の通りです。
- 期末発行済株式数:78,794,298株
- 期末自己株式数:896,678株
会社情報
本社:東京都渋谷区恵比寿4-20-1
参考資料
泉田 良輔
執筆者
株式会社モニクルリサーチ
代表取締役/日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)
株式会社モニクルリサーチ代表取締役。その他に株式会社モニクル取締役、株式会社モニクルフィナンシャル取締役も務める。東京工業大学大学院非常勤講師。日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)。慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科修了(同研究科最優秀賞受賞)
1. 経歴
2013年に株式会社ナビゲータープラットフォーム(現:株式会社モニクルリサーチ)を原田慎司(現同社取締役)らとともに共同創業。2013年に個人投資家向け金融経済メディア「Longine(ロンジン)」を立ち上げ、編集長に就任。Longineの立ち上げの経緯はBloombergにおいて「体力勝負アナリスト辞めます、元外資マン個人に長期投資指南」として掲載され大きな反響を呼ぶ。投資情報のサブスクモデルを確立する。その後、株初心者向けネットメディア「株1」、2015年にはくらしとお金の経済メディア「LIMO」の前身となる「投信1」を立ち上げる。
それ以前は、日本生命・国際投資部で外国株式ファンドマネージャー、フィデリティ投信・調査部や運用部にて10年に渡ってインターネット、電機(半導体・民生・産業エレクトロニクス)、機械(ロボットやセンサー企業中心)といったテクノロジーセクターの証券アナリストや中小型株ファンドのアシスタント・ポートフォリオ・マネージャー(最年少で就任)として従事。
2. 専門
慶応義塾大学商学部卒業。国際金融及びコーポレート・ガバナンスを専攻。アジア通貨危機、昭和金融恐慌などの金融パニックのメカニズムを金融政策や金融機関への規制の観点から研究。それらの内容は「昭和金融恐慌からの教訓 平成恐慌になにをどう生かすべきか」(三田商学研究学生論文集)として発表。
3. 著書
・『機関投資家だけが知っている「予想」のいらない株式投資』(ダイヤモンド社)
・『テクノロジーがすべてを塗り変える産業地図』(クロスメディア・パブリッシング)
・『銀行はこれからどうなるのか』(クロスメディア・パブリッシング)
・『Google vs トヨタ 「自動運転車」は始まりにすぎない』(KADOKAWA)
・『日本の電機産業 何が勝敗を分けるのか』(日本経済新聞出版社)
4. 寄稿や講演他
「日経BizGate」での連載「泉田良輔の新・産業鳥瞰図」や「現代ビジネス」、「東洋経済オンライン」、「プレジデント」などへの寄稿や対談も多数。対談記事例としては「【未来予想】ブロックチェーン革命が、「半沢直樹」の世界に終わりを告げる」や「【未来予想】アマゾンとビットコインが、次世代の「銀行」になる理由」(いずれもNewsPicks)、「米独に遅れる日本の自動運転、自動車も電機の二の舞に?」(週刊ダイヤモンド)。海外ジャーナリストからインタビューされることも多く、Financial TimesやThe Economist、Bloombergにおいて自動車や金融業界についての国内外産業動向コメントも発信している。
講演会や動画での情報発信も盛んに行っており、NewsPicksのTHE UPDATE、日経ビジネススクール、慶應丸の内キャンパス、慶應義塾SDM、アカデミーヒルズなどでも講義を行う。またNewsPicksのNewSchoolではプロジェクトリーダーとして「本当に初心者のための資産運用」を開催。
最終更新日:2024年8月27日