2023年9月に公表された国税庁「令和4年分民間給与実態統計調査結果」によると、民間企業勤務者の平均年収は457万6000円。この結果、平均給与は2年連続で増加となりました。

世間一般で平均給与が上昇しているとはいえ、自分自身の年収アップにはキャリアチェンジや昇進が不可欠。課長や部長など「中間管理職」への昇進を目指す人も少なくないかもしれません。

また、責任や業務量など追加される分だけ対価も弾むのでは……という思いがあるのと同様に、自分自身の夢や希望を優先したいという気持ちから非正規雇用を選ぶ人もいます。

では、正社員と非正規雇用の平均給与の差はどのくらいあるのでしょうか。

今回はあわせて、中間管理職の給与についても確認していきます。

30年ぶりの水準賃上げが実現! 実質賃金の伸び率は?

日本労働組合総連合会(連合)が、2023年7月21日に「春季生活闘争まとめ」を公表。30年ぶりに賃金水準の引き上げが実現しました。

物価高による賃上げへの期待が高まった点と、企業が人材を確保したい企業の思惑も重なった結果、2014年以降では最も高くなっています。

時系列でみると給与や賃金は伸長しているといえますが、これにより生活面の余裕はできるのでしょうか。

2023年10月24日、厚生労働省が発表した「毎月勤労統計調査(確報)」では、2023年8月の実質賃金はマイナス2.8%という結果でした。

そもそも実質賃金とは、労働者の購買力を示す指標のこと。労働者が雇用主から受け取る賃金の金額そのものを指す「名目賃金」から、消費者物価指数に基づいた物価変動の影響を加味して算出されます。

そんな実質賃金は今年8月だけでなく、17ヵ月連続でマイナスという結果が出ています。賃金は上がっていても、物価高騰に追いついていない状況が続いているといえるでしょう。

結果だけみると、いわゆる「賃金水準が物価高に追いつかず、家計が圧迫されている」という状態がうかがえます。

賃金や給与などについて、今度は雇用形態別に生じる給与差をみていきましょう。

【形態別】「正社員と非正規雇用」給与差の大きさをチェック!

国税庁が2023年9月27日に発表した「令和4年分 民間給与実態統計調査」によると、全体の平均給与はほぼ横ばいで推移しています。

一方、正社員の平均給与は2018年から順調に上昇していることがわかります。

「正社員」の平均給与は2018年から上昇中

  • 2018年:506万7000円
  • 2019年:508万2000円
  • 2020年:501万9000円
  • 2021年:515万7000円
  • 2022年:523万3000円

2022年の平均給与を正社員だけで見た場合、結果は523万3000円となりました。

冒頭で触れた、全体の平均年収である457万6000円と比較すると、約70万円もの差があるとわかります。

「正社員のみ」と「非正規社員を含む」平均給与を比較

正社員の平均給与は、男性は583万8000円で女性は406万9000円でした。平均給与について、正社員のみの数値と非正規雇用者を含む数値とを男女で比較してみましょう。

男性で、非正規社員を含む平均給与は563万3000円。正社員のみの場合と比較して、収入差は約20万円です。

一方、女性は非正規社員を含めた場合の平均給与が313万7000円で、収入差は約90万円でした。女性の方が、雇用形態の違いによる収入差が大きくあらわれているようです。

【役職別】2022年の中間管理職の給与実態

つづいて、役職別に中間管理職の給与実態を確認していきましょう。

厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査」によると、中間管理職の平均給与は部長級で「58万6200円」、課長級で「48万6900円」、係長級で「36万9000円」という結果でした。

資料によると、部長級・課長級の平均年齢は50歳前後。中間管理職に昇進したことで生活水準が豊かになっているのか、気になるところです。

総務省統計局「家計調査(家計収支編)」によると、45歳から54歳までの消費支出額は約33万円から約36万円。

この額面上の金額から諸々税金等が天引きされることを考えると、現代においては昇進しても収入と支出が同じ程度になる可能性もあるでしょう。

収入を貯蓄に回すためには、節約や収支バランスの調整が必要になるといえます。キャリアアップしたから余裕ができる、と言い切ることは難しそうです。

昇進による年収アップとワークライフバランスとを調整しよう

本記事では、正社員と非正規雇用者との給与差や、課長級や部長級の「中間管理職」の平均給与についてみていきました。

統計での数値上では、中間管理職に昇進しても大幅な年収アップは見込めないのが現状でした。とはいえ、正社員と非正規雇用者との給与差も大きく、思い切った転職や行動の前には事前準備が不可欠でしょう。

とくに将来のキャリアについて悩んでいる人や転職を考えている人は、キャリアチェンジの前にはきちんと自分の貯蓄や収支状況を把握しておく必要がありそうです。

参考資料