2025年の制度改正に向けて、男性と女性で差がある遺族厚生年金の受給要件を見直す議論が実施されています。

女性が亡くなった場合の受給要件を、男性が亡くなった場合の受給要件と合わせる可能性がありますが、そもそも現行制度で遺族年金はいくら受給されるのでしょうか。

今回は、夫に先立たれた専業主婦の妻が受け取れる遺族年金について解説します。

1. 遺族年金の支給要件とは

遺族年金は、国民年金に加入している場合に受給できる「遺族基礎年金」と、厚生年金に加入している場合に受給できる「遺族厚生年金」があります。

それぞれの支給要件について確認しましょう。

1.1 遺族基礎年金の支給要件

遺族基礎年金は、以下の要件に該当している場合に、遺族へ支払います。

  • 国民年金の被保険者で亡くなった場合
  • 60歳以上65歳未満で、日本国内に住所のある被保険者が亡くなった場合
  • 老齢基礎年金の受給権者が亡くなった場合
  • 老齢基礎年金の受給資格者が亡くなった場合

受給される対象者は「子のある配偶者」もしくは「子ども」に支払われます。

1.2 遺族厚生年金の支給要件

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9dream studio/shutterstock.com

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遺族厚生年金は、以下の要件を満たしている人が亡くなった場合に、遺族に支払われます。

  • 厚生年金保険の被保険者で亡くなった場合
  • 被保険者期間に病気やけがを原因として5年以内に亡くなった場合
  • 1級もしくは2級障害厚生年金の受給者が亡くなった場合
  • 老齢厚生年金の受給権者が亡くなった場合
  • 老齢厚生年金の受給資格者が亡くなった場合

また、遺族厚生年金は以下の対象者が受け取れます。

  • 子のある配偶者
  • 18歳未満の子
  • 子のない配偶者
  • 父母
  • 18歳未満の孫
  • 祖父母

ただし、遺族厚生年金は下図に記載のある通り、優先順位が最も高い遺族が支払われます。

「子のある配偶者」もしくは「子ども」は、遺族厚生年金とあわせて、遺族基礎年金が受け取れます。

では、遺族基礎年金と遺族厚生年金の受給額をそれぞれ確認しましょう。

2. 遺族基礎年金の受給額はいくらか

遺族基礎年金の受給額は、基本受給額と加算額の合計額となります。

加算額は、子どもの人数に応じて変わりますが、加算される額に違いはありません。

2.1 子のある配偶者が受け取るとき

  • 年金額(昭和31年4月2日以後生まれ):79万5000円+子の加算額

2.2 子が受け取るとき

  • 79万5000円+2人目以降の子の加算額 を子の人数で割った額

2.3 子の加算額

  • 子ども1人目および2人目の加算額:各22万8700円
  • 子ども3人目以降の加算額:各7万6200円

たとえば国民年金に加入している夫が、18歳未満の子どもが2人いる状態で亡くなった場合、遺族基礎年金の年間受給額は次の通りです。

  • 79万5000円+22万8700円×2=125万2400円

月額で換算すると、約10万円が支給されます。

3. 遺族厚生年金の受給額はいくらか

遺族厚生年金の受給額は「死亡した方の老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3」となります。

  • 報酬比例部分:年金額を計算する基礎となる部分

報酬比例部分は、年金の加入期間や過去の報酬によって異なります。

報酬比例部分の計算式は、以下の通りです。

厚生年金の加入期間の月数は、原則300月に満たない場合、すべて300月として計算します。

もし平均標準報酬額が35万円の場合、子どもが2人いる世帯の遺族厚生年金は、遺族基礎年金とあわせると月額で約15万円です。

  • 計算式:35万円×(5.481÷1000)×300÷12=約5万円
  • 遺族基礎年金=約10万円
  • 遺族基礎年金+遺族厚生年金=約15万円

以上から、遺族基礎年金よりも遺族厚生年金に加入している状態で亡くなった場合、受給額は多くなりました。

ただし、標準報酬月額が35万円の場合、遺族基礎年金と遺族厚生年金を合計しても得られたはずの月収分から約20万円の不足が生じています。

そのため、遺族年金だけでなく、働き手が万が一亡くなってしまった場合は、プラスで手厚く保障を備えておく必要があるといえるでしょう。

4. 遺族年金の受給額を知って必要な保障額を準備しましょう

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beauty-box/shutterstock.com

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遺族基礎年金と遺族厚生年金の受給額や受給要件について確認しました。

遺族年金は、公的保障制度の1つで、働き手が亡くなった場合も給付されます。

しかし、働き手が亡くなる前までに受け取っていた月給に比べると、保障される額は遺族基礎年金も遺族厚生年金も少ない可能性が高いでしょう。

そのため、働き手が万が一のリスクが発生した場合に、世帯が生活していけるだけの必要保障は、別で検討しておくと良いでしょう。

参考資料

川辺 拓也