5. シニア世代「老齢年金・貯蓄」みんなの平均はいくら?
最後に今のシニアの「老齢年金」と「貯蓄(金融資産保有額)」に関するデータにも触れます。
5.1 老齢年金の平均月額「国民年金と厚生年金」
厚生労働省の「令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、70歳代~90歳以上の老齢年金の平均月額は、国民年金(基礎年金)だけなら5万円台、上乗せして厚生年金を受け取れる場合は14万円台から16万円台です。
平均月額だけを比較すると、厚生年金は手厚い印象がありますが、現役時代の収入や年金加入期間などにより実際に受け取る年金額には大きな個人差が出る点には注意が必要です。
5.2 70歳代世帯の貯蓄「平均と中央値」
また、金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査 令和4年調査結果」によると、70歳代の金融資産保有額の平均は、単身世帯で1433万円、二人以上世帯で1906万円です。
ただしこれは「貯蓄0円世帯」から一部の富裕層までを含めた平均額である点には注意が必要でしょう。より実態に近い中央値で見ると、単身世帯は485万円、二人以上世帯は800万円にまで下がります。
6. 在宅介護にかかる費用「老齢年金だけでカバーできる?」
高齢の家族、そして私たち自分自身に介護が必要となったとき「本人の老齢年金と貯蓄でカバーできるかどうか」は、介護費用のかけ具合を決める際の基準の一つとなり得るでしょう。
老齢年金や貯蓄の額には個人差がありますが、介護費用は「介護を受ける本人」のお金を使っていくことが理想的です。
介護をおこなう側が過度な経済的な負担を負うことを前提とせず、自分自身の資産で持続可能な介護計画を立てていく視点が求められていると言えるでしょう。
7. まとめ
- 在宅介護にかかる費用は「ひと月、平均4万8000円」
- 約50%が「介護サービスの費用がわからない」ことを不安に感じている
- 年金額や貯蓄額には個人差が。介護費用は本人の収入や資産からまかなえることが理想的
参考資料
- 厚生労働省「我が国の人口について」
- 公益財団法人生命保険文化センター「生活保障に関する調査 2022年(令和4)年度」
- 厚生労働省 介護サービス情報システム「サービスにかかる利用料」
- 生命保険文化センター「2021(令和3)年度 生命保険に関する 全国実態調査 」(2021年12月)
- 厚生労働省「令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査] 令和4年調査結果」
- 金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査] 令和4年調査結果」
吉沢 良子