4. 夫婦の年金の注意点

以上でご紹介した年金は、あくまでもシミュレーションの結果です。ここでの注意点を3つ見ていきましょう。

4.1 支給額はあくまでも2ヶ月分の金額

「夫婦で合計80万円の年金」というと高額に思えますが、こちらはあくまでも2ヶ月分です。

月額に換算すれば40万円なので、その印象は下がるでしょう。

「それでも40万円もあれば老後生活は安泰!」と思った方もいるかもしれませんが、次の点にも注意が必要です。

4.2 年金からは税金や保険料が天引きされる

年金は額面どおりに支給されるとは限りません。税金や保険料(介護保険・健康保険料)が天引きされるので要注意です。

天引き額は所得によって異なりますが、年金が高くなるほど負担は大きくなります。

とくに健康保険は「低所得者に対する軽減措置」があるため、こちらから外れると一気に負担が高まるので注意が必要です。

4.3 厚生年金保険料には上限がある

最後に注意したい点として、「厚生年金保険料には上限がある」という点に注意しましょう。

例えば、先程の1番目のケースでは「夫の年収1200万円、妻の年収180万円」をご紹介しました。

40歳代、50歳代ではこちらの年収が射程圏内になる方もいるでしょう。しかし、これはあくまでも40年間を通した平均年収です。

つまり、若い頃から同じ水準の賃金を得ていないといけないのです。

そして「厚生年金保険料には上限がある」という観点から見ると、若いときの収入を後から挽回することができないといえるのです。

例えあとから年収2000万円に到達しても、支払う保険料があがるわけではないので、年金額を上げることが難しいです。

ただし、厚生労働省「令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると男性で0.13%、女性で0.01%が実際に「厚生年金30万円」に到達しているようです。

5. 老後の備えは年金以外にも

10月13日に夫婦で80万円の年金が受け取れるケースを見ていきました。

理論上は可能ですが、なかなか難しいのが実態です。年金の受給時期が近づいている方ほど、今から年金額を上げるのは難しくなるでしょう。

老後までの期間によりますが、老後に備えるには年金以外の老後資金を準備することが重要になります。

参考資料

太田 彩子