昨日10月13日は年金支給日でしたが、実際にはいくらぐらいが支給されているのか知らないという方も多いでしょう。

1941年、厚生年金保険の前身となる労働者年金保険制度が創設されて以来、制度内容は何度も改正され現在に至ります。

制度の改正に伴い、老齢年金の給付水準も年代によって異なります。

本記事では、どの年代が厚生年金の受給額が高いのかについて解説します。

制度内容の改正についても簡単に紹介しますので、老後を支える年金制度の理解に役立ててください。

1. 年代別の厚生年金受給額(60歳代・70歳代・80歳代・90歳代)

厚生労働省の「厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、2021年度の年代別の老齢厚生年金受給権者の平均年金月額(老齢基礎年金を含む)は次の通りです。

参考数値は老齢基礎年金のみの受給権者の月額です。

65歳から69歳:14万3613円
70歳から74歳:14万4357円
75歳から79歳:14万8293円
80歳から84歳:15万7500円
85歳から89歳:16万1541円
90歳以上:16万0460円

60歳代と70歳代は14万円前半、80歳代と90歳代は16万円前後で、90歳以上の平均年金月額を除けば、年代が高くなるほど年金受給額が高い状況です。

2. 年代別に年金受給額が異なる理由

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Atstock Productions/shutterstock.com

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年金受給額が年代によって異なるのはどうしてでしょうか?

さまざまな理由が考えられますが、主な理由は老齢厚生年金額の計算方法が変わったことです。

現在の計算方法と計算方法の変遷を解説します。

2.1 【厚生年金】現在の計算方法

老齢厚生年金の受給額の現在の計算方法(加算を除く報酬比例部分)は次の通りです。

2003年3月以前に支払った厚生年金保険料と、2003年4月以後の保険料からそれぞれの年金額を計算し合算します。

  • (2003年3月以前)報酬比例部分=平均標準報酬月額×7.125÷1000×厚生年金加入月数
  • (2003年4月以後)報酬比例部分=平均標準報酬額×5.481÷1000×厚生年金加入月数

※上記計算式の「7.125」や「5.481」などの数値を「報酬比例部分の乗率」と呼びます。

※標準報酬月額は、保険料や年金額の計算基礎となる金額で毎年4~6月の報酬を基に算出したものです。標準報酬額は、賞与を月額に換算して標準報酬月額に加えた金額です。

2003年3月以前と2003年4月以降で計算式が異なるのは、2003年4月以降は賞与からも厚生年金保険料が引かれるようになったからです。

計算式より報酬が高いほど、また厚生年金に加入月数が多いほど、年金額は高くなります。

2.2 【厚生年金】計算方法の変遷

少子高齢化の進展に伴い、年金の給付水準は下がっています。

具体的には、報酬比例部分の乗率が20年くらいかけて引き下げられたからです。

報酬比例部分の乗率は、生年月日によって次の通りです。

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出所:日本年金機構の各種資料を参考に筆者作成

出所:日本年金機構の各種資料を参考に筆者作成

年齢が下がるほど乗率が下がるため、若い人ほど年金受給額は少なくなります。

たとえば、2003年3月以前に支払った厚生年金保険料に対する年金受給額は、生年月日によって次の通りです。

平均標準報酬月額を30万円、厚生年金加入月数を300月として計算します。

  • 1927年4月1日生まれの人:報酬比例部分=30万円×9.500÷1000×300月=85万5000円
  • 1946年4月2日生まれの人:報酬比例部分=30万円×7.125÷1000×300月=64万1250円

平均標準報酬月額と厚生年金加入月数が同じ場合、1946年4月2日生まれの人が2003年3月以前に支払った厚生年金保険料に対する年金受給額は、1927年4月1日生まれの人の約75%です。

3. 厚生年金の金額は年代で異なる

老齢厚生年金受給権者の平均年金月額(老齢基礎年金を含む)は60歳代と70歳代が14万円台、80歳代と90歳代が16万円前後で、年代が高くなるほど年金受給額は高い状況です。

原因は、老齢厚生年金の受給額(報酬比例部分)の計算で使用する乗率が引き下げられたからです。

少子高齢化が進む中で今後乗率がアップすることは考えにくく、平均標準報酬額も急には高められないため、厚生年金受給額を増やしたい人は、できるだけ厚生年金に長く加入(仕事を継続)することを検討しましょう。

参考資料

西岡 秀泰