今年最大の下げ分をすぐに回復するなど乱高下

2017年12月8日の東京株式市場で、日経平均株価の終値は、前日より313円05銭高の22,811円08銭となりました。大幅続伸です。

先週前半は軟調でした。先々週末の1日金曜日に、トランプ米大統領とロシアとの不透明な関係を巡る「ロシア疑惑」が再燃したことから、ニューヨーク市場で米ダウ工業株30種平均は一時350ドル超安となりました。これが海外投資家の心理を冷やし、先週明けの東京市場でも収益確定のための売りが出ました。

投資家の不安感は翌日以降も続き、5日火曜日も前日比84円78銭安と続落しました。特に6日水曜日に、トランプ大統領がエルサレムをイスラエルの首都として認める方針であることが伝わると、中東情勢の緊迫に対する警戒感から、投資家の間にリスクオフの動きが広がり、前日比445円安と、今年最大の下げ幅となりました。

ところが、7日木曜日には前日の急落を受けて自律反発狙いの買いが入り、320円以上も買い戻されます。さらに8日金曜日も続伸し、けっきょく、前週末1日の終値との差は7円95銭安と、ほぼ全値戻しとなりました。

高値圏での乱高下が続いていますが、今週以降の動きはどうなるでしょうか。8日に発表された11月の米雇用統計では、非農業部門の雇用者数が22万8000人増と、市場予想を大幅に上回りました。

失業率は4.1%で市場予想と差はなかったものの、雇用の順調な増加が続いているとして、景気の先行きへの期待が強まり、同日の米国株式市場ではダウ平均が前日比117ドル68セント高の24,329ドル16セントと過去最高値となりました。

8日のニューヨーク外国為替市場でも、円が売られ、ドルが買われる動きとなり、円相場は前日比40銭円安・ドル高の1ドル=113円45~55銭で取引を終えています。

今週初はこれらの米株高・円安進行を好感し、買いが先行すると予想されます。ただし、海外勢はすでに年末を見据えており、急に利益確定の持ち高調整の動きになる場合もあり、備えておきたいものです。

一時、25日移動平均線を割り込むがすぐに復活

先週の動きをテクニカル面から振り返ってみましょう。6日水曜日に大幅に下落し、25日移動平均線を割り込みました。11月9日の高値、11月16日の安値、12月1日の高値を結ぶと「M」の形になるWトップになっていることから、ここから下落が続くのではないかと懸念されました。

しかし、本当の意味でのWトップが完成するためには「M」の真ん中の安値である11月16日の安値を下回る必要がありますが、その直前で踏みとどまると、長い陽線で上昇し、週初からの下落分をほぼ埋めてしまいました。25日移動平均線だけでなく、5日移動平均線も回復しました。

三角持ち合いを上抜ければ、2万3000円台定着も期待できる

今週の動きはどうなるでしょうか。25日移動平均線はまだ上向きで、目線は上に持っていいと思います。

6日水曜日以降の動きを見ると、これまでの急上昇に乗れずにいた投資家が積極的に押し目買いに入ってきたことをうかがわせます。押しが浅く、下げてもすぐに反転する相場であり、先高感があります。

ただし直近は、上値は11月9日の高値と12月1日の高値を結ぶライン、下値は11月16日と12月6日の安値を結ぶラインにはさまれた三角持ち合いの形になっています。上下どちらかに抜けるまでは、小幅なもみ合いになることも考えられます。

上目線では、12月1日の高値(22,994円)を抜けるようであれば、2万3000円定着も期待できます。ただし、12月6日の安値(22,119円)や11月16日の安値(21,972円)を割り込むようなことがあれば、注意が必要です。

下原 一晃