日中の寒暖差が大きいここ数日、イタリア人はTシャツの上にレザージャケットなどを着こんで、初秋のファッションを楽しんでいます。日中の暑さもそれほど気にならなくなると、郊外の町に散策に出かけるのは、秋の週末のお楽しみ。

イタリアの各都市でも、秋の空気を堪能して旅行する外国人が目立ちます。しかし折角の楽しいイタリア旅行を台無しにするもの、それが「ぼったくりレストラン」です。

物価高や円安といった事情を考慮しても、法外と思われる金額を吹っかけてくるレストランの存在は、イタリア人の間でも知られています。悪名高いこうしたレストランで被害に遭わないためには、どんな対策が必要なのでしょうか。

観光客にはわかりにくいイタリアのメニュー

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イタリアのレストランでは、価格の設定はオーナーの判断で決めることができます。ただしオーナーが設定した価格は、明確にすることが法律で定められているのです。

実際にレストランに入ると、いわゆる「定番料理」が書かれたメニューが運ばれてきます。ところが、旬の食材などを使った「今日の特別メニュー」がある場合は、メニューに書かれていないことも多々あるのです。

いわゆる常連さんが多いレストランならば、給仕から口頭で「今日のメニュー」が伝えられても、妥当な価格であることは暗黙の了解といった感じです。

しかし、観光客などの一見さんにとっては、このシステムは非常にわかりにくいと言わざるをえません。口頭で伝えられるメニューは、価格が不明なことが多いためです。

特に観光客が集中する各都市では、このようなやり方でぼったくり値段をふっかけてくるレストランが存在するのです。

日本人被害者も多いぼったくりのレストラン

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軽食で済ませたはずのランチに、数万円単位を要求された。こんな事件がよく起こるのは、ローマの中心地やバチカン付近のレストランです。

実際被害に遭ったケースを聞いてみると、バチカン近くのレストランで「魚介のパスタ」を2人分、ミネラルウォーター1本を頼んだだけなのに、500ユーロ以上を請求されています。

イタリアは日本と同じように海に囲まれていますから、おいしい魚介類を安く食べることができる、というイメージがあります。実際には、魚介料理は肉料理よりもかなり高額になることが大半です。

被害に遭った日本人観光客は、イタリア語でまくしたてられて説明されてもわからなかったと語っていましたが、店側はおそらく「魚介は時価で決まるから」などと言う理由で、ぼったくりを試みたのでしょう。

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クレジットカードでの支払い後にレシートを見ると、水1本に5ユーロ以上の値段がついていたり、勝手に「チップ」として数十ユーロが加算されている状態だったそうです。

日本人の観光客はこれに納得できず、日本人の店員がいるお店に赴き、レシートを提示しました。

日本人店員によって警察に通報されましたが、支払ってしまった金額は戻ってこなかったようです。警察への通報は、支払い前に行う必要があるのだとか。

もちろん、法外な金額を請求した店側は、きちんとした価格を明記していなかったという理由で罰せられます。しかし場合によっては、数百ユーロの罰金で終わってしまうこともあるのです。