3. 【シニアの貯蓄】65歳以上世帯の貯蓄額の平均はいくら?
総務省統計局「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2022年(令和4年)平均結果-(二人以上の世帯)」より、65歳以上世帯のうち「二人以上世帯」の貯蓄事情を確認してみましょう。
- 貯蓄平均値:2414万円
- 貯蓄中央値:1677万円
65歳以上の世帯の貯蓄額は、上記の通り平均と中央値で乖離が見られます。
この場合、平均は一部の大きな数値により引き上げられていると考えられますので、より実態に近いと考えられている中央値を参考にしておきましょう。
中央値は1677万円ですが、棒グラフを細かく見ていくと貯蓄格差があることが分かります。
貯蓄額2000万円を超える世帯が全体の42.5%を占めている一方で、100万円未満の世帯は7.8%。貯蓄額が1000万円に満たないシニア世帯は約36%です。
これから退職金を受け取る世帯もあるかもしれませんが、このデータは65歳以上ですので、多くの世帯が定年退職を迎え退職金受取済みと考えられます。
備えあれば憂いなし。いま現役世代の人たちは、こうしたシニアの現状から老後生活をより身近に感じて、自身の老後資金づくりを真剣に検討していきたいものです。
4. 【シニアの労働事情】65歳以上世帯の就業率と平均給与
最後に、シニアの労働事情も見ておきます。
近年は、定年年齢の引き上げや定年制度の廃止、70歳までの就業機会拡大など、シニアの労働環境が大きく変化しています。
現在のシニア世代の就業率と働くシニアの平均給与を見てみましょう。
4.1 就業率の推移
内閣府「令和5年版高齢社会白書」によると、シニアの就業率は下記のとおり年々上昇しています。
60~64歳までの就業率は73%、65歳~69歳までの就業率は50.8%です。
70歳以上になるとやや就業率は低くなるものの、それでも約34%と多くのシニアが働いています。
4.2 65歳~69歳の平均給与
では働くシニアは、どれくらいの給与を得ているのでしょうか。
2023年9月27日に発表された国税庁「民間給与実態統計調査」より、65歳~69歳の平均給与を見てみましょう。
65~69歳の平均給与
- 男性:428万円
- 女性:227万円
- 男女全体:342万円
現役世代の平均給与は458万円ですから、65~69歳の男性は「老後」とは言い難い年収を得ているようです。
先述したとおり、定年年齢の引き上げなどもありますので、60歳代はまだ現役世代といえるのかもしれません。
5. 何ごとも先回りが大切です!
今回は現役シニア世代のお財布事情を眺めてきました。
今後さらなる物価上昇や年金額の引き下げを考慮すると私的年金や貯蓄の重要性は増していくでしょう。
人それぞれ準備しておきたい資金、安心できる金額はさまざまです。
まずはご自身の目標(ゴール)を見つけてみるのはいかがでしょうか?
また、預貯金だけでは効率的に資産を増やすことが難しい現代、時間を味方につけてしっかりとお金に働いてもらう資産運用を取り入れてみることも手段のひとつです。
無理なく自分に合った方法を見つける意味で情報収集することからスタートしてみましょう。
「まだ先」と思っていても「すぐ来る」セカンドライフ。
年齢を重ねるごとに時の早さに驚く方も多いでしょう。
備えあれば憂いなし、安心して将来を迎えることができますように!
参考資料
- 総務省統計局「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2022年(令和4年)平均結果-(二人以上の世帯)」
- 厚生労働省「令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 総務省「家計調査報告 家計収支編 2022年(令和4年)平均結果の概要」
- 内閣府「令和5年版高齢社会白書」
- 国税庁「令和4年分民間給与実態統計調査」
笹村 夏来