大学入学から卒業までにかかる教育費

一般的に子どもの教育費の中で一番支出額が多くなるとされているのが大学です。大学では国公立大学と私立大学の二つのパターン、そして私立大学でも文系と理系学部で学費に違いが生じやすいです。

とくに初年度は学費だけでなく入学金、そして大学入試で滑り止め大学への納付金もあり負担が多いです。

日本政策金融公庫「令和3年度教育費負担の実態調査結果」によると大学入学でかかる学校納付金(入学金)や受験費用、そして入学しなかった学校への納付金費用の合計は国公立大学で67万2000円、私立大学文系で81万8000円、私立大学理系が88万8000円でした。

在学中にかかる学校教育費(授業料、通学費、教科書代など)と家庭学習費(塾の月謝、おけいこごとの費用など)の合計は以下の通りになります。

  • 国公立大学:年間 103万5000円(414万円)
  • 私立大学文系:年間 152万円(608万円)
  • 私立大学理系:年間 183万2000円(732万8000円)

入学に関わる教育費と在学中の教育費を合わせると、国公立大学は481万2000円、私立大学文系は689万8000円、そして私立大学理系は821万6000円です。

幼稚園から高校までオール私立で大学も私立理系だと総計2661万6812円になり、大卒と高卒の生涯年収差より小さく、データ上は教育費を回収できます。

私立理系でも医学部は平均値を上回る学費がかかりますが、厚生労働省の「令和4年賃金構造基本統計調査」によると医師の平均年収(※)は1428万9000円と高く、やはり教育費回収ができます。

※勤務先の企業規模が10人以上の場合

大卒が有利だが「雇用形態と職種」が左右する

このようにデータをみていくと、高卒で働き始めるよりも大卒で働いたほうが生涯年収が多くなることが分かりました。

ただし、年収も教育費もあくまで平均値です。年収が低めの職種や雇用形態が不安定だと教育費の元を取ることも難しくなります。

好きな道に進ませることは大切ですが、やはり充実した生活をしていくにはお金は不可欠です。子どもの好きなことや得意そうな分野から「どの道に進めばより収入を増やせるか」と考えてみることも子育てにおいては大切ではないでしょうか。

参考資料

中山 まち子