1. 生活保護の仕組みと対象になる人を確認

生活保護制度は、生活に困窮する人の困窮の程度に応じて必要な保護を行い、健康で文化的な最低限度の生活を保障するものです。ゆくゆくは自立を助長することが目的です。

生活保護は世帯単位で行われ、持っている資産、能力等あらゆるものを活用しても、収入が生活保護の基準以下という場合に、生活保護(足らない分の補填)を受けることになります。

生活保護を受ける方は、以下のような状態の方が対象となります。

  • 不動産、自動車、預貯金等のうち、ただちに活用できる資産がない。
  • 就労できない、又は就労していても必要な生活費を得られない。
  • 年金、手当等の社会保障給付の活用をしても必要な生活費を得られない。

2. 生活保護ってどれくらいもらえるの?2023年10月から改定へ

生活保護の支給額は、地域、世帯人数、年齢などを考慮して決められます。

たとえば、住んでいる場所が都市部か地方かで物価の基準が違います。

また、世帯人数が多ければ、必要な生活費も多くなるはずとなり、個々の状況に応じて決められます。

実際に支給される扶助の内容は、以下の8項目に分けられています。

  • 生活扶助:日常生活に必要な費用(食費・被服費・光熱費等)
  • 住宅扶助:アパート等の家賃
  • 教育扶助:義務教育を受けるために必要な学用品費
  • 医療扶助:医療サービスの費用
  • 介護扶助:介護サービスの費用
  • 出産扶助:出産費用
  • 生業扶助:就労に必要な技能の修得等にかかる費用
  • 葬祭扶助:葬祭費用

このうち生活扶助の基準額は、2023年10月から「世帯人員一人当たり月額1000円」加算されます。

ただし、当該加算を行ってもなお現行基準額から減額となる世帯については、現行の基準額のまま据え置かれます。

参考として、8項目のうちの1つである「生活扶助基準(食費・被服費・光熱水費等に対応するもの)」(令和5年4月1日現在)を以下に紹介します。

2.1 高齢者単身世帯(68歳)の金額

  • 東京都区部等:7万7980円
  • 地方郡部等:6万6300円

2.2 高齢者夫婦世帯(68歳、65歳)の金額

  • 東京都区部等:12万1480円
  • 地方郡部等:10万6350円

冒頭で、国民年金の満額が月額は6万6250円ほど、厚生年金の平均月額が14万3965円とお伝えしました。

生活保護から支給される生活扶助基準(単身世帯)と国民年金の満額を比べると、東京都区部等が約1万円多く、地方郡部はほぼ同じといえます。

しかし、厚生年金の平均月額と生活扶助基準(単身世帯)を比べると、厚生年金の支給の方が多くなります。